タイヤローテーションについて
タイヤをローテーションすることは、FF車、 FR車など前後の車輪の磨耗状況が異なる場合、位置を交換することで減りを均一化させ、安全なドライブを実現する効果があります。取付のコツや注意点などについてご紹介します。
タイヤの磨耗はタイヤ位置によって進み具合や状況が異なります。磨耗を均一化させるためにはタイヤのローテーション(位置交換)を行っていただくのが効果的です。磨耗を均一化させることはタイヤの寿命を延ばすことにもつながっていきます。
ローテーションは当然同一のタイヤを使用している場合に行うことが可能です。タイヤのローテーションとひとくちにいっても、車種によってローテーションの方法が異なります。またローテーションの時期についても走行の仕方によって若干の違いがあります。今回は気になるタイヤローテーションについてご案内いたします。
目次
タイヤローテーションを行うワケ
一説によると、タイヤは5,000km走行すると1mm磨耗すると言われています。磨耗によって、タイヤの溝が浅くなるとスリップしやすい状態となります。タイヤの溝は16mm以下であると危険な状態であり、スリップサインが表れた場合にはタイヤの交換を行っていただくとよいでしょう。オールシーズンタイヤでは、タイヤの寿命は3~4年であるといわれています。
しかし実際には、自動車のタイヤはすべてのタイヤが均一に磨耗しているワケではありません。前輪は後輪より2〜3倍程度磨耗は激しいと言われています。特にその傾向は現在自動車の主流となっているFF車ほど顕著になる傾向あります。
ローテーションを行わない場合、先に前輪だけを交換することになります。その場合、前輪には異なる種類、材質のゴムの異なるタイヤをつけることになります。仮に同じタイヤを見つけられた場合についても極端に溝の深さの異なるタイヤをつけて走行することになります。バランスの悪い状態で走行することで、タイヤの磨耗はより顕著になります。ローテーションを行わないということは、走行性能のバランスを考えるとよい状態であるとはいえません。
磨耗傾向からタイヤローテーションを考える
ローテーションでは、タイヤの位置交換を行うことで、タイヤの磨耗を均一化することを目指します。ローテーションを考える上でタイヤの磨耗傾向について考えることは重要です。タイヤの磨耗傾向についてご紹介します。
駆動による磨耗の違い
自動車は、発進や加速、旋回、減速、停止などの動きを前後どちらかのタイヤをメインに行っている傾向があります。こちらを駆動と呼びます。主に負担のかかる車輪を駆動輪と呼びます。前輪駆動のものをFF車、後輪駆動のものをFR車といいます。
現在もっともポピュラーなものが、FF車でありますが、スポーツカーや高級セダンなどにはFR駆動が採用されています。車の駆動はFF車とFR車だけではありません。マイノリティではありますが、ポルシェやランボルギーニ、マクラーレンなどを筆頭に、MR駆動(ミッドシップレイアウト)や、RR駆動(リアエンジンレイアウト)も現在採用があります。
駆動様式は車種によって絞りこむことが可能ですが、運転的の足回りを覗き込むことでも推測することが可能です。駆動様式を知ることである程度、保有する車の摩耗傾向を把握することができるでしょう。
ローテーションを行わない場合、前輪については両肩べり部分、後輪ではタイヤのセンター部位が摩耗しやすい傾向があります。肩ベり(ショルダー部)の摩耗については、空気圧が不足している場合にも摩耗が進みやすい傾向があります。またセンター部位の摩耗については反対にタイヤの空気圧が過多である場合に摩耗がすすみます。このような傾向を覚えておくことで、車の状態を正しく把握することができます。
偏摩耗はタイヤの寿命だけでなく、振動や騒音などのトラブルにつながる傾向があります。
ローテーションの方法について
それでは早速、タイヤローテーションの方法について学んでいきましょう。ローテーションは摩耗初期から行っていただいたほうが効果的であるといわれています。目安としては、5,000km~10,000kmを目安にするとよいでしょう。運転する際に、山道を通ることが多い、蛇行した道路を走行する傾向があるなどの場合や、急発進や急停車を行うことが多いという場合にはもう少し早い時期でのローテーションを考えてみるのもよいでしょう。
ローテーションでは同一のタイヤを使用している場合、基本的には車に装着しているタイヤすべてを回していくことをおすすめしています。スペアタイヤがある場合には、スペアタイヤも含めたローテーションを行って下さい。
【4本でのローテーション】
FF車の場合
前輪を真後ろの後輪へ
後輪は別サイドの前輪に入れ替える
FR車・4WD車の場合
後輪を前の前輪へ
前輪を別サイドの後輪に入れ替える
方向性のあるタイヤの場合
前輪、後輪を入れ替える
【5本でのローテーション】
スペアタイヤを含めたローテーション(位置交換を行う。)
FF・FF車ベースの4WD(スペアタイヤなし)
前輪→後輪(左右は入替えない)
後輪左→前輪右
後輪右→前輪左
FR・FR車ベースの4WD(スペアタイヤなし)
前輪左→後輪右
前輪右→後輪左
後輪→前輪(左右は入替えない)
スペアタイヤがある場合
後輪右→スペアタイヤ
スペアタイヤ→後輪左
(FF・FR・4WDともに)
ローテーションを行う場合注意が必要なのが、方向性パターンのタイヤです。方向性タイヤとは、回転の方向が指定されているタイヤをいいます。このタイヤは決められた方向に回転させることで始めて性能を発揮します。このタイヤを左右入れ替える場合、回転方向が逆になってしまいます。逆回転での使用は装着が出来た場合においても、タイヤ本来の性能が発揮できないどころか、抵抗となることになります。
この場合、左右のタイヤのローテーションを行わず、前後のみの交換にとどめていただくことをおすすめいたします。 方向性のあるタイヤの場合は、タイヤ側面に矢印マークの記載があります。この矢印の指示が回転方向と同一となるように装着するとよいでしょう。
タイヤローテーションの費用
ローテーションを行う場合、自分で行う方法とタイヤショップやディーラーで依頼する方法があります。タイヤショップやディーラーで依頼する場合についてはもちろん費用が掛かります。ローテーションの費用はタイヤの履き替えと同一の費用でおこなってくれるところが多いようです。ホイールバランスの調整については行わず、単にタイヤの付け替えのみを行う形となりますので、比較的安価で実施することが可能です。快適な走行のために、自動車店に行った際には相談してみるとよいでしょう。
自分のローテーションを行う場合は馬ジャッキとナットを外す工具があると理想的です。スペアタイヤの交換をご自分で実施されている場合ですと簡単に行うことができます。
必要な馬ジャッキの数はどのようにローテーションを行うかによって異なります。前後のみのローテーションを行う場合ですと、左右どちらか一方にジャッキを噛ませてタイヤを浮かせます。この場合馬ジャッキは2基あればローテーションの実施が可能です。前後左右、すべてのタイヤのローテーションを行う際には、4か所をジャッキアップして、浮かせながら作業をするほうが効率的です。この場合馬ジャッキは4基欲しいところです。
馬ジャッキ使用の際の手順や、ポイント、車の取り扱い方法等はジャッキ購入の際に細かな手順書をもらうことが可能です。手順書通りに行えば決して難しい作業ではありません。 ローテーションの方法を覚えることで、パンク時のタイヤ交換やスタットレスタイヤへの変更等自分の行うことも可能です。ぜひ手順を覚えて実施いただくとよいでしょう。
その他ローテーションの注意事項としては、複数のタイヤを調整しながら、ナットを締めていくことです。この作業により垂直にタイヤを装着していきます。また、ナットが緩い場合は、走行時の脱輪につながる場合がありますので、よく確認して、強く締めていくようにしましょう。
まとめ
今回はタイヤのメンテナンスとして欠かせないタイヤローテーションについて、ローテーションを行う理由からローテーションの手順、注意事項についてお伝えさせて頂きました。 タイヤのローテーションを行うことで、偏った摩耗を均一化することが可能です。タイヤのローテーションというと、一見面倒な作業であるように感じるかもしれません。
ローテーションを行うことでタイヤの寿命を延ばすことだけでなく、快適な走行にも繋がっていきます。ローテーションというと一見面倒な印象を抱く方もいらっしゃいますが、カーショップやディーラーで相談を行うと、短時間で実施してくれる作業となりますので、ぜひ試してみて下さい。