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タイヤのインチアップのメリット・デメリットを紹介!
タイヤをインチアップすると、車の外観の印象をグッとスタイリッシュに変えることが可能です。
見た目以外にも、走行性能へのメリットも複数ありますが、もちろんデメリットも存在します。
また、インチアップタイヤの選び方を間違えると車検に通らないだけでなく、車の故障や事故に繋がる可能性もありますので注意が必要です。
今回は、タイヤのインチアップによるメリット・デメリットや車検に通るポイントをご紹介します。
タイヤのインチアップのメリットは?
タイヤのインチアップは、どれも同じように見えてしまう車の外観で個性を表現したい方や、「走り」を楽しみたい方にとってのメリットが満載です。
インチアップを楽しみたい方必見の代表的なメリットを4つご紹介します。
スタイリッシュな外観
インチアップで劇的に変わるのが見た目です。
インチアップするとホイールが大きくなる分、車の外観の中でタイヤの黒いゴムが占める割合が低くなり、明るい印象を与えます。
ホイールが目立つため、デザインやカラーにこだわったホイールに付け替える楽しみも生まれます。
ボディのカラーリングを変えるのは高額な費用がかかりますが、ホイール交換であれば手軽に個性的な外観に仕上げることが可能です。
走行性と操作性がアップ
スポーツカーやスポーツ仕様の車の多くは、同じタイヤ外径のノーマル車と比較してホイール径が大きいということをご存知でしょうか。
実はホイール径が大きいと、車の走行性能が向上するのです。
タイヤの側面は、縦方向の力(車体重量など)を吸収する役割を担っており、衝撃を受けた場合はこの部分が縦方向に押されてたわむことで衝撃を逃しています。
しかし、ハンドル操作の際にはたわみによってレスポンスが遅れるという欠点があるのです。
インチアップしたタイヤは側面が低く、たわみが生じにくい状態になっています。
そのためハンドル操作を邪魔するたわみや遊びが少なく、ハンドリングレスポンスが良くなります。また直進性が向上するため、高速走行時に安定感があります。
意図した通りのコーナリングが実現
車がコーナーを曲がる際はタイヤ側面が「よれ」や「ねじれ」を起こします。
しかし上記の理由で変形を起こしにくいインチアップタイヤは、コーナリングの際にも良好なハンドリングレスポンスを見せ、ドライバーの意図を汲んでくれるのです。
走りにメリハリを生むグリップ力
タイヤをインチアップすると、ほとんどのケースでインチアップ前よりタイヤの幅が広くなります。
これによりタイヤの接地面積が従来よりも広くなるため、グリップ力が向上します。
グリップ力が上がることで万が一の急制動にも対応できますし、コーナリングの安定感が更にアップするでしょう。
タイヤのインチアップのデメリットは?
メリットがあれば当然デメリットもあります。
車を通勤や通学、買い物の移動手段と捉えている方や、市街地走行が多い方にとってはマイナスに感じやすいかもしれません。
走りにも快適性にも影響する代表的なデメリットを5つご紹介します。
路面状況が振動に反映されてしまう
たわみが生じにくくなることは走行面ではプラスに働きますが、乗り心地を考えるとデメリットになります。
縦方向の衝撃が吸収しにくくなるため、路面の悪さが振動となってダイレクトに伝わってしまうのです。
段差はもちろん、細い枝を踏んだ程度の衝撃も分かるぐらいですから、乗り心地が良いとはいえません。
あまり気になる場合は、サスペンション周囲のアップグレードも視野に入れるといいですね。
燃費が悪化する
タイヤの接地面積が増える分、摩擦が生じやすくなります。
これはグリップ力の向上に寄与しているためメリットになり得ますが、同時にタイヤの転がりを妨げるため、燃費を悪化させます。
場合によっては1割近くも燃費が悪化する場合があります。
また、ホイールの面積が増えると重量もアップします。これも燃費を悪化させる要因です。
走行音が気になる
タイヤの接地面積が広く、路面の僅かな凹凸も拾ってしまうため、走行音は大きくなる傾向にあります。
運転環境に静粛性や快適性を求める方にとっては悩ましい問題といえますね。
重量が重くなることで走行に影響が出やすい
タイヤが太くなるのに加えてホイールが大きくなるため、よほどスポークが細いホイールを装着している場合や軽量ホイールを除いて、当然車全体の重量が重くなります。
重くなれば自ずと加速性能が悪化しますので、燃費に影響しやすいといえるでしょう。
市街地走行をメインにしている場合は加速・減速を繰り返しますしその回数も多くなるため、燃費悪化が顕著になります。
またメリットとして挙げたグリップ力向上も、車体重量の増加によって帳消しになるケースがあります。
ブレーキ力があまり強くない軽自動車などにインチアップを施した場合、グリップ力やブレーキングが車体の慣性に負け、ブレーキが効きにくくなる可能性があるのです。
安全性に関わる点ですので注意が必要です。
ハンドルが重くなることも
タイヤの接地面積が広いためハンドルは重くなります。
高速走行ではあまり気にならず、逆にハンドルレスポンスが向上するほどですが、市街地走行ではカーブや交差点を曲がるたびに重さを感じるかもしれません。
インチアップしても車検に通る!確認したい3つのポイント
インチアップすること自体は不正改造に該当しません。
通常の車検項目をクリアしていればインチアップタイヤでも車検を通過することは可能です。
しかしインチアップすることで引っ掛かりやすくなる項目がありますので、以下に挙げる3点は車検の前に必ず確認しておきましょう。
車体にタイヤが収まっているか
タイヤが車体幅よりも外側にはみ出していると「不正改造車」の扱いとなり、車検に通りません。
インチアップをするとタイヤの幅が広くなり、はみ出しが起きやすいため注意が必要です。
タイヤを選ぶ際に、はみ出しが起きないサイズかどうか確認しておきましょう。
国内規格のホイールを使っているか
日本国内で市販されているホイールの殆どが国内の公的規格JWLを通過しています。
しかし、ネットショップなどで格安で手に入れたホイールやメーカー不明のホイールの中には、規格を通っていないものも稀にあり、この場合は車検に通りません。
規格を通過しているかどうかはホイール表面の刻印の有無で判りますので、念の為確認しておくといいですね。
スピードメーターの誤差が少ないか
車検ではメーターの表示速度と実際の速度の誤差を確認する項目があります。
ベルトコンベア上で車を走らせ、メーターが40km/hを示したときの実際の速度を計測し、誤差を算出します。
この速度が許容範囲に収まっていない場合は車検に通りません。
スピードメーターに表示される速度数値は純正タイヤの外径を元に算出しているため、インチアップによって外径が変わるとスピード表示に誤差が生じてしまうのです。
そのため、インチアップの前後でタイヤの外径が大きく変わらないようなタイヤを選ぶ必要があります。
インチアップする際に注意したい4つのポイント
車検さえ通過していればインチアップタイヤでも安全に走行できる、というわけではありません。
タイヤの大きさや厚み、幅が変わるインチアップならではのトラブルが生じる可能性があるのです。
インチアップタイヤを選ぶ際は次に挙げる4点を必ず確認しておき、安全運転にお役立てください。
タイヤの外径が大きく変わらないようにする
車検の項目でご紹介した通り、インチアップでタイヤの外径が変わってしまうとスピードメーターに誤差が生じやすくなります。
その結果、速度超過によって違反や思わぬ事故を起こす危険があるのです。
ただしインチアップ前後で外径を全く同じにするのは難しく、空気圧の状態によっても外径は変動します。
まずは純正タイヤにできるだけ近い外径のタイヤを選び、空気圧を適正な状態に保ちましょう。
車体に干渉しないサイズを選ぶ
タイヤの幅が広くなると、タイヤがフェンダーやブレーキ部分に接触しやすくなります。外径が大きくなれば更に干渉しやすくなります。
完全にハンドルを切ったときにどこにも接触しないように、サイズ選びには注意しましょう。
重量を支える負荷能力が下がらないように注意
タイヤは車体の重さとラゲッジに積む荷物の重さ、乗員の重さを全て支えています。
しかし支えられる重さには限界があり、超えてしまうと車の故障や事故に繋がりかねません。
タイヤが支えられる負荷荷重はロードインデックスとしてタイヤに表示されています。
タイヤをインチアップする場合は、純正タイヤのロードインデックスと同等かそれ以上のものを選ぶようにしましょう。
空気圧をこまめに確認
タイヤの耐荷重は、ロードインデックスだけでなくタイヤの空気圧とも関係しています。
適正な空気圧が保たれていないとタイヤの負荷能力が低下してしまうため、インチアップ後はこまめに空気圧をチェックしましょう。
適正サイズのタイヤを選んで楽しくインチアップ
タイヤのインチアップにはメリットもデメリットもあります。
ストップ・アンド・ゴーが多くなる市街地ではデメリットが目立つかもしれません。
ですが、高速走行や長時間運転が多い場合や「走り」を楽しみたい方は、インチアップによるメリットを存分に感じられるのではないでしょうか。
インチアップタイヤを安全に楽しむためには、車検を通過できる適正な状態を保つことが重要です。
車体とタイヤの接触など、実際に装着してみなければ分からないトラブルもありますので、タイヤのことを熟知しているショップスタッフやディーラーに相談し、アドバイスを受けるといいですね。
車の外観を気軽にチューンアップできるタイヤのインチアップは、愛車の魅力をより一層引き立ててくれることでしょう。