タイヤ交換の目安となるポイントは?
タイヤの交換の目安について解説しております。摩耗の進み具合、ひび割れ、空気圧等見るべきポイントをまとめております。消耗品ですので、車に乗り続けていれば知っておく必要があることだらけかと思いますので、是非チェックしてみて下さい。
タイヤは消耗品です。順調にすり減っていくと特に雨天時の制動能力が低下するため、早めに交換することが望ましいでしょう。タイヤは車の駆動力や制動力を路面に伝える唯一の部品ですから、適切に交換しなければ命に関わる大事故に繋がってしまいます。
とはいっても、タイヤは安い買い物ではないことも事実。安全性と経済性を両立できるタイミングで交換したいものです。タイヤの交換といえば摩耗が進んだとき、と思う方もいらっしゃるでしょう。
ですが、他にもタイヤを交換した方がよい場合があり、それぞれ見るべきポイントが異なってきます。今回はタイヤを交換する目安となるいくつかのポイントを解説します。
目次
摩耗の進み具合
もっとも一般的なタイヤ交換の目安でしょう。タイヤの摩耗が進み、残り溝の深さが1.6mm以下になると、溝に設けられたスリップサインが現れます。
スリップサインが現れたタイヤで公道を走ることは道路運送車両法に違反するため、スリップサインの出現はタイヤ交換のひとつの目安として考えてよいでしょう。ですが、スリップサインはあくまで最低限の残り溝です。実際には溝が減っていくほど、雨天時の制動能力は落ちていきます。
タイヤの残り溝はしばしば「○分山」と表記されます。タイヤの残り溝の深さを10分割して考える表記で、8分山なら8割、5分山なら5割、2分山なら2割、溝が残っているという表記です。
JAF(日本自動車連盟)が2017年に「雨天時の制動距離」を測定した実験結果をご紹介しましょう。実験結果によれば、新品タイヤ(10分山)の制動距離に比べて、摩耗したタイヤは5分山の場合で1.4倍、2分山の場合では1.7倍も制動距離が伸びる、という結果が示されています。
より具体的には、時速100kmで直線走行してフルブレーキをかけた場合、新品タイヤの制動距離が47.6mだったのに対し、5分山の場合は制動距離が50.8m、2分山の場合は制動距離が70.5mでした。
2分山の場合、スリップサインは現れていないため道路運送車両法には違反していませんが、雨天時に濡れた路面を走行するのは危険である、ということがお分かりいただけるかと思います。
以上のことから、スリップサインが現れていないからといって安心できるわけではありません。5分山くらいの場合は十分な制動距離が得られていると考えてよいでしょうが、2分山まですり減っていたら早めに交換することが望ましいでしょう。
とはいえ、残り溝を測定するためには専用のデプスゲージと呼ばれる道具を使う必要があります。
それほど高価な品物ではありませんが、あえて購入するほどでもない、と感じる方もいらっしゃるでしょう。まずはカー用品店やガソリンスタンドに立ち寄った際、残り溝などについて、点検を依頼してみてはいかがでしょうか。
ひび割れ
タイヤを購入したのち、使用するにつれて表面が徐々にひび割れてきます。タイヤはゴム製品ですから、経年劣化によってひび割れが生じるのは仕方のないことです。細かいひびが見られるうちは使用にあたって問題はありませんが、長く深いひび割れになると要注意です。
ひびがタイヤの骨格である「コード(カーカス)」まで達している場合は、交換しなければ危険です。目安としては、他のひびを飲みこむように深く長い一本のひび割れが生じてしまった場合、コードまで到達している可能性が高い、といえます。
JATMA(日本自動車タイヤ協会)は、ひび割れがどの程度まで進行したら交換すべきか、という目安についてガイドラインを示しています。
また、ひび割れは使用状況や環境によっても進行が大きく変わります。
・空気圧不足
空気圧が不足していると、タイヤが頻繁に変形するため、ひび割れが早く進みます。
・洗いすぎやワックスの塗布
タイヤを過剰に洗ったり、製造時から配合されている保護材を染みださせてしまうワックスを塗ったりすると、タイヤがダメージを受けてひび割れが進みます。
・オゾンや紫外線
タイヤは化学製品ですので、化学反応が起こりやすい環境に置くのも控えましょう。例えば、オゾンは酸化力が強い物質です。主にエアコンの室外機など、高電圧がかかる電気製品の周囲にはオゾンが発生します。
駐車する場所、あるいはタイヤを保管する場所は、室外機から離れた場所が良いでしょう。また、紫外線もタイヤの敵です。直射日光はなるべく避けましょう。
・あまり車を使わない
意外に思われるかもしれませんが、車を使わない場合もひび割れが進行しやすくなります。車を使わないと、タイヤの一箇所に車の重量が集中し続けることになります。重量が集中した箇所はひび割れが進みますので、あまり使わない車もちょこちょこ乗ってあげた方が良いでしょう。
以上のような要因をひとことでまとめると、過酷な環境にタイヤを晒すとひび割れが進む、と言えます。逆に、優しく扱ってあげればひび割れの進行は抑えることができます。
まったくひび割れないようにすることはできませんので、ひび割れの目安についてはJATMAが示すような状態を覚えておきましょう。要経過観察~要注意の進行具合になったらカー用品店やガソリンスタンドへ相談しましょう。
製造年週
先述したように、タイヤは化学製品であり、時間が経過に従って劣化していきます。一般に、サマータイヤの寿命は最長でも製造から10年程度が目安である、とされています。また、使用開始から5年ほどを目安に専門家に見てもらうことが望ましいでしょう。
溝が十分に残っている、深刻なひび割れが発生していない、という場合でも、実は内部の劣化が進み、タイヤの骨格とゴム部分が剥がれていた、ということもあります。
タイヤがいつ製造されたのか、という情報は、側面(サイドウォール)に刻印された4桁の数字で知ることができます。例えば「2117」と表記されていた場合、上2桁が製造された「週」を、下二桁が製造された「年」を示しています。
したがって2017年の第21週、2017年5月初頭に製造されたことが分かります。週・年という順番は、日本人にとってはちょっと分かりづらい表記ですので、お間違いのないように。
製造年週は中古タイヤや、アウトレットなどで安く売り出されているタイヤの「安さの理由」を判断する際の目安にもなります。製造年週があまりに古い場合は購入を控えた方が賢明でしょう。
まとめ
今回はタイヤを交換する際の目安となるポイントについていくつかご紹介しました。パンクやバーストといった損傷を除けば、交換の目安となるのは主に、残り溝、ひび割れの進行具合、製造年週でしょう。
残り溝は、スリップサインが現れる前であっても、2分山くらいまですり減ったら交換した方が安全でしょう。タイヤの溝は濡れた路面を走行する際の排水機能を担っています。新品タイヤに比べると、2分山程度まですり減ったタイヤは雨天時の制動能力が大きく劣ります。
ひび割れについては、長く深い一本のひび割れが現れたら要注意です。ひび割れが気になり始めたら、タイヤの専門家がいるカー用品店やガソリンスタンドに相談しましょう。このとき、同時に製造年週や使用年数についても相談しておくと安心です。
特に購入から時間が経過している場合、見た目は問題なくとも、内部で劣化や損傷が進んでいることがあります。素人目ではなかなか判断が付きませんので、専門家に相談した方が良いでしょう。
タイヤは安くない買い物ですが、適切に交換しなければ命に関わる大事故に繋がってしまいます。安全性と経済性を両立できるタイミングで交換し、いつでも安全なドライブができるように心がけましょう。