公開日:2018.10.30 更新日: 2019.10.24

タイヤの溝はとても重要

タイヤの溝がもつ役割について、種類ごとで説明させて頂きます。雨水を排水したり、路面とタイヤの接地面積を確保したりなど、運転をする上で安全に関わる重要な役割を担っているのをご存知でしょうか。少しでもお役に立てれば幸いです。

タイヤに溝が彫られていることは当たり前のように思えますが、安全に関わる重要な役割を担っています。車検の際もタイヤの溝の残量がチェックされますし、残り溝が1.6mmとなってスリップサインが現れた状態で公道を走ると道路運送車両法に違反してしまいます。

法令で定められているほど重要な役割を担っているタイヤの溝ですが、ドライバーにとってはうっかり点検を忘れてしまいがちなポイントのようです。

JAF(日本自動車連盟)が2017年に調査した結果によると、タイヤの日常点検を実施しているドライバーは79.8%と高いものの、タイヤの残り溝をチェックしているドライバーは日常点検を実施しているドライバーの73.0%、全体で見ると58.2%程度と、高いとは言いがたい割合になっています。

今回はタイヤの溝が担っている重要な役割について、サマータイヤ、スタッドレスタイヤそれぞれを取り上げて解説します。

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タイヤの溝の基礎知識

タイヤの溝は、雨天時に路面とタイヤの間に入りこんだ雨水を排水し、路面とタイヤの接地面積を確保するために彫られています。端的に表現するとこれだけの役割なのですが、この排水機能がどれほど重要なのか、いくつか例を挙げて解説します。

例えば、スピードを追求するモータースポーツで用いられるタイヤには晴天用と雨天用の2種類が用意されています。

スリックタイヤと呼ばれる晴天用のタイヤには溝がありません。溝が無くなるとタイヤと路面の接地面積が最大になります。これにより駆動力や制動力を最大まで伝えられるようになっています。

一方、レースの途中で雨が降り始めたらレインタイヤと呼ばれる専用のタイヤに履き替えます。レインタイヤには溝が彫られており、また材質も晴天時のタイヤに比べて柔らかめの素材で作られています。溝のないスリックタイヤではタイヤと路面の間に入りこんだ雨水を排水できず、スリップなどの大事故に繋がるためです。

モータースポーツは極端な例ですので、もう少し身近な例も挙げてみましょう。晴天時と雨天時で、タイヤの残り溝が車の制動距離にどれくらい影響するか、JAFが2015年に実施した実験の結果が公表されています。

実験によると、タイヤの残り溝は晴天時の制動距離にほとんど影響がありませんでした。一方、雨天時の制動距離は、新品タイヤに比べてタイヤの残り溝が少ないほど長くなることが示されました。

タイヤの溝の影響は、特に時速100kmの高速走行時に顕著に表れます。実験結果の数値ですが、新品タイヤに比べてタイヤの残り溝が2割(3.1mm)ほど残っている場合では制動距離が1.7倍ほど長くなり、タイヤの残り溝が5割(4.5mm)ほど残っている場合でも1.4倍ほど長くなりました。

時速100kmで走行している状態からフルブレーキすると、新品のタイヤは47m程度の距離で静止できますが、残り溝が2割のタイヤでは70mの距離でやっと静止できます。その差は実に20m以上。とても無視できない距離であることがお分かりいただけるかと思います。

タイヤの残り溝が少なくなると、それだけ排水性能が落ちることになります。特に高速道路を走行している場合は路面の雨水にタイヤが乗り上げてグリップ力を失う現象、いわゆるハイドロプレーニング現象が起こりやすくなります。

道路運送車両法においてはタイヤの溝が1.6mm以上残っていることが最低限の条件となっていますが、JAFの実験結果によるとタイヤの溝が2割ほど残っていても、雨天時に高速で走行することは危険であることが分かります。

サマータイヤの残り溝

先述したJAFの実験が示したように、タイヤの残り溝は雨天時の制動距離に直結しています。スリップサインが現れていないから大丈夫、と安心することはできません。高速道路はしばしば山間に建設されています。

山の天気は変わりやすいものです。さっきまで晴れていたのに、トンネルひとつ抜けた先が雨だった、ということは珍しくありません。高速道路を走行する前にはタイヤの空気圧をチェックしよう、と呼びかけられていますが、同時に残り溝もチェックしておきましょう。

タイヤの定期点検は1ヶ月に1回ほどの頻度で実施することが望ましいとされています。根拠はタイヤの空気圧は1ヶ月で5%~10%ほども低下するためです。さて、冒頭でご紹介したJAFによるアンケート調査の結果では、タイヤの定期点検を実施しているドライバーは全体の79.8%と高くなっていました。

しかしその内訳を見ると、1ヶ月ごとにタイヤの点検を実施しているドライバーはわずか27.4%、2~3ヶ月に1回点検しているドライバーも33.8%と、適切な頻度で点検を実施できているドライバーは少ないようです。

ひと昔前に比べると、交通事故の数は減り、交通事故の原因もドライバーの不注意による割合が高くなっていますが、JAFが高速道路におけるトラブルに対して出動した件数のうち、最も高い割合を占めた原因は「タイヤのパンク、バースト、エアー不足」でした。

道路に落ちた異物をタイヤが踏んでしまった場合は不可抗力であるとしか言えませんが、日常点検によって防ぐことができたケースも多くあるようです。

また、首都高速が発表しているデータによれば、雨天時に交通事故が発生する確率は、晴天時のおよそ4倍と高くなっており、スリップによって道路脇の壁などに衝突する「施設接触事故」の割合が最も高くなっています。各種のデータからも、タイヤの定期点検の頻度と、残り溝のチェックがいかに重要であるかお分かり頂けるかと思います。

スタッドレスタイヤの残り溝

寒さが厳しさを増すこれからの季節、スタッドレスタイヤに履き替えるドライバーも多いことでしょう。履き替えの際は残り溝やタイヤの状態を必ずチェックしてください。

スタッドレスタイヤには、サマータイヤに多く見られる縦方向の溝に加えて、横方向にも溝が彫られています。また、タイヤの表面に細かい溝が刻まれています。この細かい溝はサイプと呼ばれます。

横方向の溝は雪を押し固めることでタイヤがしっかりとグリップすることを目的としており、サイプはわずかな水分を吸収してタイヤと路面がより密着することを目的としています。

また、横方向の溝やサイプが変形し、ゴムの角が路面に引っかかるように作用することで、より高いグリップ力を確保しています。

スタッドレスタイヤには残り溝の表示として、スリップサインの他にプラットフォームと呼ばれる表示があります。プラットフォームはタイヤの残り溝が5割となったときに出現します。プラットフォームの位置はタイヤの側面に矢印「↑」で表記されていますので、スリップサインとの区別は簡単です。

プラットフォームが現れたタイヤは、乾燥路面を走行することはできますが、チェーン装着規制がかかった雪道を走行することはできません。昨年、あるいは一昨年に購入したスタッドレスタイヤへ履き替える際は、ドライバー自身でタイヤの状態をチェックしておきましょう。

まとめ

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今回はタイヤの溝が担っている重要な役割について、サマータイヤ、スタッドレスタイヤそれぞれを取り上げて解説しました。

タイヤの溝は、路面に溜まった水を排水する機能を担っています。どれくらい重要かという点については、スリップサインが現れていなくても、残り溝が少なくなるほど雨天時の制動距離が目に見えて伸びる、というJAFの実験結果が表しています。

サマータイヤの残り溝については、1ヶ月に1度のタイヤ点検を実施することを心がけましょう。スリップサインが現れていなくても、溝が浅くなっていたらタイヤを交換した方が良いでしょう。

タイヤは決して安い買い物ではありませんが、ひとたび交通事故を起こしてしまうと比べものにならない額の買い物になってしまいます。

スタッドレスタイヤの残り溝については、シーズンが来て履き替える際にプラットフォームが現れていないかチェックしましょう。プラットフォームが現れたスタッドレスタイヤは、通常の路面を走行することはできますが、チェーン装着規制がかかった雪道を走行することはできません。

つい忘れがちなタイヤの溝ですが、とても重要な役割を担っています。まずは月に一度、タイヤの空気圧を入れ直す際に、目視でチェックすることから始めてはいかがでしょうか。

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