2018.12.25

タイヤの材料はゴムだけじゃない?

タイヤというとゴムを想像する人は多いと思います。今回はその素材や役割について、またカーカスやビードワイヤー、ベルトなど構成する様々な部品の詳細についても解説しております。少しでも理解いただけたら幸いです。

タイヤの材料、と聞いたとき、まずはゴムを想像される方が多いのではないでしょうか。確かにタイヤにおいて大きな容積を占めるのはゴムですが、実際のところタイヤにはゴムの他にも様々な材料が使われています。

金属や繊維素材も使われていますし、ゴムで構成されている部分も細かく見るとそれぞれ役割が異なるため、ゴムと一緒に配合される材料が異なったりします。タイヤは車において様々な役割を担っているため、それらの役割を果たすために様々な工夫がなされています。

今回はタイヤを構成する様々な部品と材料について解説します。タイヤについての理解を深め、より快適で安全なカーライフを目指しましょう!

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ゴムにも色々あります

タイヤのゴムは、ゴムを単純にタイヤの形に成形したものではありません。タイヤは部位によって役割が異なるため、ゴムに配合される成分も部位ごとに異なっています。

タイヤが地面と接する部分、一般にトレッドと呼ばれる部分のゴムにはグリップ力と耐摩耗性が求められます。単純に考えると、ゴムが柔らかいと路面に食いつきやすくなるためグリップ力が増し、ゴムが固いと摩擦の影響を受けにくくなるため耐摩耗性が増します。

つまり、グリップ力と耐摩耗性は、単純には両立しないのです。タイヤメーカー各社はグリップ力と耐摩耗性を両立させるため、ゴムを構成する分子のレベルで研究を重ね、より良いゴムの開発に日々注力しています。

タイヤの側面、サイドウォールと呼ばれる部分も見てみましょう。タイヤにおいて、最も曲がったり伸びたりといった変形が激しい部分です。また、縁石などにぶつかることで損傷を受けやすい部分でもあります。後述しますが、カーカスと呼ばれるタイヤの骨格を保護するため、耐摩耗性に優れるブタジエンゴムという合成ゴムが用いられることが多いようです。

また、ゴムそのものについてもゴムの木から採取される天然ゴムと、石油から精製される合成ゴムがあり、それぞれ性質が違います。さらに、ゴムに混ぜて配合される材料も様々です。タイヤが黒い理由のひとつでもあるカーボン(炭素)はゴムの強度や硬さを向上させます。

シリカ(二酸化ケイ素)はゴムの柔軟性を保ちながら転がり抵抗を小さくするためによく用いられており、シリカが配合されたゴムはシリカコンパウンドと呼ばれています。他にもオイル、硫黄、酸化亜鉛など、タイヤのゴムには実に様々な材料が配合されています。

以上のように、タイヤは実のところ、とても複雑な化学製品です。簡単に処分することはできないため、廃棄する際には産業廃棄物として指定され、適切な処理を実施できる業者へ引き渡されます。間違っても「燃やして処分しよう」などとは考えないでください。

タイヤには様々な化学物質が含まれているため、下手に燃やしてしまうと有害な物質が発生してしまいます。また、後述するようにタイヤには様々な金属部品が含まれているため、燃やしても完全に処分できません。

カーカス

ゴムだけでタイヤを作ってしまうと全体の剛性(硬さ)が不足するため、空気圧がかかったり重量がかかったりすると、形を保つことができません。このため、カーカスと呼ばれる部品が内蔵されています。カーカスはコード、ワイヤーなどとも呼ばれることもあるようです。

カーカスは、いわばタイヤの骨格であり、筋肉に相当するゴムを支えています。材料は様々ですが、一般的な乗用車においてはポリエステル、ナイロン、レーヨンといった繊維素材が多いようです。ちなみに、タイヤを酷使するモータースポーツでは、防弾ベストにも用いられるアラミド繊維をカーカスに用いることで、より強靭な骨格を形成しています。

タイヤのゴムは時間が経つと共に劣化し、ひび割れていきます。このひび割れがカーカスに到達してしまうと、そのタイヤは使用不可能と判断されます。ひび割れがカーカスに到達してからはカーカスとゴムが分離していきます。骨と筋肉が繋がっていないような状態ですから、非常に危険です。

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また、強い衝撃によってカーカスが損傷した場合も、これは骨折と同じようなものですから、見た目には問題なくてもそのタイヤは使用できません。走行中にタイヤの異常を感じたにもかかわらず、見た目には異常がない場合、カーカスの損傷を疑った方が良いでしょう。カー用品店などに持ち込み、検査を受けることをおすすめします。

ビードワイヤー

ホイールとタイヤが密着する部分には、金属製のワイヤーが用いられています。具体的には、ビードと呼ばれている部分の内部に、ビードワイヤーが内蔵されています。

空気を充填したとき、ビード部がゴムだけでは変形に耐えられず、ホイールとタイヤが分離してしまいます。これを防ぐために、ビードワイヤーを内蔵することでビード部にかかる圧力をしっかりと支えています。

ビードに用いられるワイヤーには、高炭素鋼という非常に硬い材料が用いられています。高炭素鋼は特に引っ張る力に対して強いため、タイヤの空気圧によって全周にわたって引っ張られるビードにはぴったりの材料というわけです。

ベルト

タイヤの骨格はカーカスによって形成されています。ですがカーカスの材料は繊維素材であり、ゴムほどではありませんが、空気を充填すると丸く膨らむように変形します。これにより、トレッド面の中央だけが路面に接するようになってしまいます。

これを防ぐために、ベルトと呼ばれる部品がカーカスより上の層に配置されています。ベルトはタイヤの中央部分を締め付けることで、トレッド面の全体が路面に接地できる形状に維持する機能を果たしています。材料としては主に鉄鋼が用いられています。

インナーライナー

タイヤは自然に空気が抜けていきます。ゴムを構成している分子のサイズよりも空気の分子が小さいため、空気はゴムの分子と衝突しながら徐々に外へ漏れ出てしまいます。これを少しでも防ぐために、タイヤの内側、カーカス部分にはインナーライナーと呼ばれる薄いゴムが貼りつけられています。

自転車のタイヤを想像してみてください。普通の自転車は路面に接するゴムとは別に、空気を入れるためのチューブが入っている場合が多いでしょう。車のタイヤは一般にチューブレスです。つまり、自転車のタイヤにおけるチューブの役割を、インナーライナーが担っています。

まとめ

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今回はタイヤを構成する様々な部品と材料について解説しました。タイヤといえばゴム、と思われるかもしれません。ですが、実際には多様な材料が複雑に組み合わせられています。ゴムだけでも部位によって材料の配分が異なります。

骨格であるカーカス、ホイールとタイヤを確実に密着させるビードワイヤー、カーカスの構造を支えるベルト、気密性を高めるインナーライナーなど、ゴムだけではない材料も駆使されています。

私たちのような一般ドライバーがタイヤの構造を隅々まで知っておく必要はありませんが、カーカスの「役割」については知っておいたほうがよいでしょう。カーカスはタイヤの骨格であり、損傷してしまった場合は基本的にそのタイヤを使うことができなくなってしまいます。

また、表面のひび割れがカーカスに達してしまった場合、ゴムとカーカスが分離していきます。見た目には分かりづらいものですので、走行中にタイヤからの異常を感じたにもかかわらず、外見には異常がない場合はカー用品店などに持ち込んで状態を調べてもらうとよいでしょう。

今回の記事がタイヤの理解に少しでも役立ち、快適で安全なカーライフに繋がれば幸いです。

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