公開日:2018.12.25

タイヤとIoTの関連性とは?

タイヤのIoTについて、具体例を挙げて紹介させて頂きます。関わりが深い空気圧のデータ(TPMS)など、インターネットにモノを接続することでどのような効果があるのか、そして今後普及されることでどんな未来になっていくのでしょうか。

最近ではすっかりIoT(Internet of Things)という言葉が定着しました。改めて言葉の意味を確認してみましょう。IoTを直訳すると、「モノ」のインターネット。今までインターネットに接続されていなかった「モノ」をインターネットに接続する、という考え方や技術のことです。関連する技術として、ビッグデータ分析があります。

IoTと聞いて真っ先に思い浮かぶのは、やはり家電製品でしょう。出先から家電製品の状態をスマホで確認できたり、扉の鍵を開け閉めできたりします。ところで、自動車もまたモノであり、IoTを生かせる対象として注目されています。

さらにIoTの対象となる「モノ」を自動車から細かく分けていくと、タイヤもIoTを生かす対象となりえることが注目されています。ですが、タイヤをインターネットに接続することで得られるメリットというのは、わたしたちにとってはちょっと想像しづらいのではないでしょうか。

今回は、タイヤとIoTについて具体的な例を挙げながら解説していきます。

IoT1

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タイヤはデータの宝庫

IoTは様々な「モノ」から取得できるデータを、インターネットを通じてリアルタイムに取得することで、生活をより便利にしたりサービスの質を向上させたりすることができる技術です。生活に密着している家電製品は、IoTの対象として分かりやすく、注目も集まりやすい「モノ」です。さて、「モノ」であるタイヤからはどのようなデータが取得でき、どのように活用できるのでしょうか。

現在、タイヤにおいて最も利用しやすいのは空気圧のデータです。TPMS(Tire Pressure Monitoring System : タイヤ空気圧監視システム)はタイヤの空気圧やタイヤの温度を監視し、タイヤに異常があればドライバーに通知します。

ここで、見方によっては、TPMSによって車とタイヤとの間に小さなネットワークが作られていると考えることもできます。ですが、TPMSだけではIoTが活用されているとは言えません。

IoTはその名の通り、インターネットにモノを接続することであり、ビッグデータ分析によって威力を発揮するためです。

例えば、TPMSによって取得されたタイヤに関するデータが、インターネットを経由して一箇所に集められ、分析にかけられたらどうなるでしょうか。位置情報とTPMSの情報を組み合わせることで、タイヤのパンクが起きやすい場所を知ることができます。

時刻情報とTPMSの情報を組み合わせることで、パンクが起きやすい時間帯や季節を知ることができます。これらの情報は新しいタイヤを開発するためのヒントにもなるでしょう。

また、タイヤは車の中でも路面に直接接触している唯一の部品です。タイヤは路面の状態によって変形したり、振動したりします。このデータを利活用することで、路面の状態を知ることができる可能性があります。回転数によって走行距離を知ることもできますから、適切なタイミングで交換するようドライバーに伝えることもできます。

タイヤのIoTが進むことで、自動運転にも応用できます。自動運転が実用化されれば便利な世の中になることは間違いありません。ですが、せっかくなら自動運転によって走行する車両の保守点検も自動化したいものです。

タイヤに限らず、様々な部品のデータが自動的に取得・分析され、適切な保守点検が自動的になされるようになれば、交通事故がほとんど発生しない未来も非現実的ではないでしょう。

車もデータの宝庫

そもそも、タイヤは車の一部です。車からはどのようなデータが取得でき、どのように活かせるのでしょうか。車のIoTについても見てみましょう。

GPSを搭載している車がインターネットに繋がっていれば、車の位置情報が分かります。仮に全ての車がインターネットに繋がって位置情報を提供してくれれば、渋滞の対策などに利用できることは想像に難くないでしょう。

また、救急車などの緊急車両が通過しているエリアにいるドライバーへ通知を出すことができれば、一秒の時間さえ惜しい救命活動に貢献することができます。

他にも、交通事故が発生した際、車がインターネットに繋がっていれば事故が発生したことを遠隔地でもすぐに知ることができます。車の部品から取得できる情報(例:ハンドル操作、アクセルやブレーキの踏み具合、タイヤの状態、等々)を利用すれば、事故原因の究明は速やかに、かつ公正に行われることでしょう。

車から取得できる情報は車そのものに生かすだけでなく、道路の整備に生かすことも検討されています。山口県の宇部市は2010年から2011年にかけて、山口大学および総務省と連携して、路線バスの振動データから橋の状態を検出する仕組みを実験的に導入し、成果を挙げています。

橋を通過した際のバスの振動データから、橋がどれくらい劣化しているのか知ることができるのです。路線バスからデータを取得した理由ですが、路線バスは同じルートを何度も通過するため、正常な橋の状態と、異常な橋の状態を比べやすいのです。これは車を対象としたIoTの先駆けと言えるでしょう。

タイヤのIoTに関する取り組み

IoT2

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実際の取り組みについてもご紹介しましょう。

タイヤメーカーのブリヂストンは2017年にデジタル化を進めるための部門を新しく設立しています。同社は2017年、オーストラリアの鉱山で稼働する車両で使用されているタイヤの使用状況や交換時期を一括で管理できるIoTサービスを始めていますが、これは一般車両におけるIoTサービスの導入を睨んだものと考えてよいでしょう。

タイヤを「販売」するのではなく「貸し出す」ビジネスモデルも検討されているようです。IoTによってタイヤの状態を管理することができるため、ブリヂストンは顧客へタイヤを貸し出し、適切な時期に適切案メンテナンスを実施します。これによって顧客はタイヤの状態を管理する必要がないため、他の必要な仕事に集中することができます。

ミシュランでは、2018年6月からソフトバンクと協業し、TPMSから得られた情報をソフトバンクのIoTサービス上で可視化できるサービスを実施しています。

ドライバーだけでなく、遠くにいる運行管理者にもタイヤの情報をリアルタイムに伝えることができます。ドライバーや運行管理者はTPMSが異常を検知した時に対策すればよいため、業務の効率化が進みます。

建築用途向けの機械や車両を生産しているコマツでは、既に2001年から建設機械用の遠隔監視システムである「コムトラックス」を標準装備しています。建設機械から取得できる様々なデータを活用し、建設機械の稼働状況などを把握できるシステムです。

これにより乗務員の勤怠管理や、稼働状況をまとめた帳票作成までできてしまいます。ここまでくると、コマツが生産している建設機械はただの機械ではなく、IoTに加わる端末であると言ってしまってもよいでしょう。

まとめ

IoT3

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今回、タイヤとIoTについて解説させて頂きました。IoTと言えば家電、というイメージが強いかもしれません。ですが、車やタイヤもまた、IoTの利便性を大いに生かせる分野として注目を集めています。

車のうち、地面に接しているタイヤは重要な情報源であり、IoTによって様々な活用が期待できます。現在ではタイヤは購入するものですが、将来的にはレンタルすることが一般的になるかもしれません。

タイヤのメンテナンスは面倒くさいものですし、専門的な知識も必要になります。IoTの普及によってメンテナンスをお任せできるようになるなら、素敵な未来が到来した、と言えるのではないでしょうか。

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