公開日:2018.10.30

タイヤの比較は何を基準にするべきか?

タイヤを比較する上で何を基準に検討すべきか。重視するポイントは人によって様々ですが、価格面、性能面、安全性など検討材料となる素材をまとめてご紹介しております。実際に購入を考えている方は、参考になさってみて下さい。

最近はネットでもタイヤを簡単に購入できるようになりました。純正タイヤだけでなく、多くのタイヤメーカーが製造しているタイヤを簡単に比較検討できるのがネット通販の嬉しいところです。一方で、多くのタイヤを比較できるぶん、何を基準に判断したら良いのか分からない、という方も多いのではないでしょうか。

タイヤは決して安い買い物ではありませんから、比較するときに最も気になるのは価格でしょう。ですが、一般に価格が高くなるほどタイヤの性能は良くなります。また、同じ価格帯でも製品によって長所が異なることもあります。

燃費を重視する方もいれば、乗り心地を重視する方もいらっしゃるでしょう。今回はタイヤを比較するときに考慮したい様々な性能について解説します。

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相反するタイヤの性能

車の重量を支えたり、エンジンの駆動力を地面に伝えたり、路面の凹凸から伝わる衝撃を吸収したりと、タイヤには様々な性能が求められます。

そして残念ながら、タイヤに求められる性能は往々にしてトレードオフ、つまり「あちらを立てればこちらが立たず」という関係にあります。タイヤを比較する際は、ご自身が何を重視しているのか明確にしておきましょう。

例えば、タイヤの性能によって燃費を良くしたい場合、単純に考えるならタイヤを固くするなどして転がり抵抗性能を小さくすればよいのですが、タイヤが固いと縦方向の振動が大きくなり、乗り心地が悪くなります。

コンフォートタイヤ、あるいはプレミアムタイヤと呼ばれる製品には燃費と乗り心地を両立したものもありますが、高性能なぶん、高価な製品となっています。

この他にも、ある性能を求める場合、他の性能をある程度は犠牲にしなければいけない場合が多くあります。以降はいくつかの性能について、その性能を高めるとどのような性能を犠牲にしなければならないのか解説します。

燃費性能

タイヤを比較する際、燃費に関わる性能を評価の軸とする方は多いでしょう。タイヤによって燃費の向上を図る場合、タイヤを固くしたり路面との接地面積を小さくしたりして、タイヤの転がり抵抗を抑えることになります。

ですが、転がり抵抗が小さいと、往々にしてウェットグリップ性能(雨天時の制動力)が悪くなります。

いくら燃費が良くても、雨天時に必要な制動力を発揮できないと、命に関わる大事故に繋がってしまいます。燃費だけでなく、経済性を求めるあまりに他の性能を軽視して事故を起こしてしまっては、かえって高いコストを支払うことになります。

JATMA(日本自動車タイヤ協会)はタイヤの転がり抵抗性能とウェットグリップ性能についてラベリング制度を設けており、転がり抵抗性能の等級が「A」以上かつ、ウェットグリップ性能の等級が「d」以上である製品を低燃費タイヤとして認めています。

ウェットグリップ性能が「d」であっても、標準的な材料と工程で製造されたタイヤよりウェットグリップ性能が高いことを求められるため、低燃費タイヤとして認められた製品は、転がり抵抗性能とウェットグリップ性能を両立しているといえます。

ウェットグリップ性能の等級によって制動距離がどれくらい違うのか、一例としてブリヂストンが実施した実験の結果をご紹介します。

実験によれば、時速100kmからフルブレーキを実施した場合、ウェットグリップ性能が「a」の製品に比べてウェットグリップ性能が「c」の製品は直線における制動距離が約10mも伸びました。

一般的な乗用車の車長は5m程度ですから、約2台分も制動距離が違うことになります。燃費だけを気にするのではなく、安全性も考慮に入れてタイヤを比較しましょう。

静粛性能

運転時には車内は静かであってほしいものです。タイヤを比較する際の評価軸として静粛性能を求める方もいらっしゃるでしょう。タイヤから車内へ伝わる騒音は、ロードノイズとパターンノイズの二つに分類できます。

ロードノイズとは、路面からタイヤを伝って車内に響く騒音のことです。ロードノイズはゴーッという低音域であることが特徴です。タイヤと路面の接地面積が大きいとロードノイズを拾いやすくなるのですが、ロードノイズを低減するために接地面積を小さくしてしまうと、グリップ性能などが悪くなります。

パターンノイズとは、タイヤそのものが発する騒音のことです。シャーッという高音域であることが特徴です。タイヤの溝が走行によって押し潰されると、溝に溜まっていた空気が圧縮され、笛のような音を鳴らしてしまいます。

一般に溝の幅が大きいほどパターンノイズが大きくなるのですが、タイヤの溝は雨天時の制動力、ウェットグリップ性能に大きく影響しているため、安易に溝を小さくするわけにもいきません。

最近では音響工学を応用してパターンノイズを打ち消す技術も登場していますが、排水性能と静粛性能を両立させるぶん、高価になりがちです。

運動性能

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スポーティな走りを求める方は、タイヤを比較する際の評価軸として運動性能を挙げる方もいらっしゃるでしょう。運動性能とは、ハンドル操作に対してキビキビと敏感に反応してくれる性能のことです。

運動性能が高いほうが良いように感じられるかもしれませんが、実際にはハンドルを小さく操作しただけで大きく曲がるようになるため、ドライバーは高い集中力を保たなければいけません。運動性能が高いということは、裏を返せば安定性能が低いということなのです。

運動性能を向上させる手段としては、タイヤの外径を変えずにホイールサイズを大きくする「インチアップ」が挙げられます。

インチアップを実施するとタイヤが平たくなるため、路面との接地面積が大きくなり、ハンドル操作がすぐに反映されるようになります。一方で、路面との接地面積が大きくなるということは、路面との摩擦が大きくなるということでもあります。

路面との摩擦が大きいと加減速が容易となりますが、転がり抵抗性能が大きくなるため、燃費が悪化します。また、先述しましたが、路面との接地面積が大きくなるとロードノイズも拾いやすくなってしまいます。

安全性能

タイヤを比較する際の評価軸として何より安全であることを求める方もいらっしゃるでしょう。タイヤに関する身近なトラブルとしてパンクが挙げられます。

カーフロンティア社の調査によれば、新品タイヤの購入後、実に50%以上の人が3年以内にパンクを経験しており、パンクの原因のほとんどは釘などの異物を踏んだためでした。意外に多い、と驚かれる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

パンクに対する究極の対策として、パンクしても走り続けられるランフラットタイヤを装着する、という手段があります。ランフラットタイヤを装着していれば、パンクによって空気が全て抜けてしまっても、時速80km以下の速度で80km以上の距離を走行できます。

したがって、パンクしてしまってもカー用品店やガソリンスタンド、整備工場に持ち込むまでは安全に走れる可能性が高くなります。

一方で、ランフラットタイヤはタイヤ本体が高価であり、基本的には修理ができず、脱着を依頼する際の工賃も高額になりがちと、様々な面でコストがかかるタイヤです。

また、ランフラットタイヤがパンクした場合、ドライバーはそのことを感知できないため、タイヤの空気圧を電子的に監視するTPMSという機械を取り付ける必要があります。これもコスト増の原因となっています。

まとめ

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今回はタイヤを比較するときに考慮したい様々な性能について解説しました。タイヤには多くの性能が求められるため、ある性能を追求すると他の性能を犠牲にしなければならない場合が多くあります。

今回は燃費性能、静粛性能、運動性能、安全性能について解説しましたが、他にも乗り心地、コーナリング性能、直進安定性、耐摩耗性など、様々な面からタイヤの性能を評価することができます。

タイヤを比較検討する際には、ご自身が求める性能を明確にしたうえで、その他の性能もバランスよく両立できるよう心がけましょう。

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