2018.12.25

4WD車のタイヤを知る

4WDのタイヤの特徴について解説。FF車やFR車との違い、稼働力や燃費についても紹介しております。また国内メーカーの普及率や、雪道でも強いのかを検証結果と併せてたっぷり紹介いたします。

皆様は、ご自身が乗っていらっしゃる車の駆動方式をご存じでしょうか?

普通乗用車はほとんどがFF車と呼ばれる駆動方式です。また、スポーツカーにおいてはFR車と呼ばれる駆動方式が用いられることがあります。それぞれ特徴があるのですが、どちらも前後どちらかのタイヤが路面に駆動力を伝えるという点では同じです。

FF車やFR車と違い、4WDは前後四つの車輪全てが駆動する方式です。しばしば、4WDは荒れた路面や雪道に強いと言われますが、実際のところはどうなのでしょうか。今回は4WDの仕組みから、4WDが採用される理由、JAFが実施した実験の結果から分かる4WD車のタイヤ選びまで、様々な視点から解説させて頂きます。

4WD1

4WD1

4WDとは?

冒頭でご紹介したように、ほとんどの普通乗用車にはFF車と呼ばれる駆動方式が採用されています。FFとは、車の前方にエンジンがあり前輪のタイヤで駆動する、フロントエンジン・フロントドライブ(Front Engine / Front Drive)を意味しています。

FF車の反対としてよく挙げられるFR車は車の前方にエンジンがあり、後輪のタイヤで駆動する、フロントエンジン・リアドライブ(Front Engine / Rear Drive)を意味しています。

一般に、車のタイヤは前輪と後輪のどちらかがエンジンの駆動力を路面へ伝えるのですが、4WDの場合は車を支えるタイヤ4本全てにエンジンのCを路面へ伝えます。4WDが特に強みを発揮するのは、デコボコな路面や滑りやすい路面を走る時です。

いずれかのタイヤが空転しても、他のタイヤがしっかりと路面を掴んでいるため、グリップ力が損なわれにくくなります。

一方、4つ全てのタイヤに駆動力が伝えられるということは、それだけエネルギーのロスが生まれやすくなり、燃費は少し悪くなります。同じ車種で2WDと4WDを比べてみると分かりやすいでしょう。

このため、常に4WDで走行する「フルタイム4WD」ではなく、必要な時にスイッチひとつで4WDへ切り替える「パートタイム4WD」が設けられている車種もあります。

4WDのタイヤで気をつけたいこと

4WDはFF車とは駆動方式が異なるため、タイヤの取り扱いについても少し気をつける必要があります。例えば、FF車は一般に前輪のタイヤが後輪のタイヤに比べて3倍もすり減りやすい、と言われています。

前輪が駆動力を伝え、またカーブを曲がる際にも前輪が角度を変えるため、FF車の前輪はとてもすり減りやすい構造になっています。タイヤの摩耗具合を均一化するために実施されるのが「ローテーション」と呼ばれるメンテナンスです。最も簡単なローテーションは、走行距離5,000kmごとに前輪と後輪のタイヤを入れ替える、というものです。

フルタイム方式の4WDはタイヤ全てに駆動力が伝えられるため、その点においては前輪も後輪もすり減り具合はほとんど変わりません。フルタイム方式の4WDにおいてタイヤのすり減り方が違うのは、ハンドルさばきに由来するものです。

フルタイム方式の4WDであっても方向転換の役割を担うのは前輪ですから、スポーティな走りによって急ハンドルを切る機会が多い場合は、前輪がすり減りやすくなります。

パートタイム方式の4WDは、4WDではないモードにおいて、前輪と後輪どちらのタイヤに駆動力が伝わるかで変わってきます。主に前輪駆動で、必要時に4WDに切り替える場合はFF車とほとんど変わらず、前輪のタイヤがすり減りやすくなります。

主に後輪駆動で、必要時に4WDへ切り替える場合はFR車と同じく、後輪がすり減りやすくなります。ただし後輪駆動の場合は事情がやや複雑で、駐車時の切り返しなどが多い場合は前輪の方が早く摩耗してしまう場合もあります。

以上のように、4WDは一般的なFF車とはタイヤのすり減り方が違うのですが、メインとなる駆動方式によってもそれぞれすり減り方が異なります。知識を持っておくのはもちろんのこと、せっかくの4WDなのですから、日常的なタイヤ点検も普通の車以上に入念に実施したいものです。

4WDが採用されるワケ

4WDは主にSUVやRVといったカテゴリの車に採用される傾向があるようです。具体的には日産のエクストレイル、ホンダのヴェゼル、マツダのCX-8などが挙げられます。世界中に普及しているトヨタのランドクルーザーも、もちろん4WD。

4WD2

4WD2

ランドクルーザーにはそもそも4WDしかありません。国土交通省によれば、日本の国道における舗装率は2009年時点において99.4%、道路全体でも80.1%と非常に高くなっています。日本では舗装された道を走ることが当たり前なのですね。

一方、世界はというと、欧米各国の舗装率はほとんどが100%ですが、例えば2001年の南アフリカでは17.3%と、アフリカ諸国はとても低い舗装率に留まっています。ここで注目したいのは、ランドクルーザーはアフリカにおけるシェアがとても高い、ということです。

未舗装路が多いため、4WDで駆動し、部品の信頼性も非常に高いランドクルーザーはアフリカにおいて大人気なようです。また、ランドクルーザーはアフリカにおいて救急車としてもしばしば利用されています。舗装されていなくても、大切な命を乗せている救急車は走らなければいけません。悪路を踏破して大切な命を一刻も早く運ぶためにも、4WDは無くてはならない駆動方式なのです。

4WDは本当に雪道に強いの?実験結果をご紹介

舗装された道を走ることが多い日本ですが、その例外が雪道です。当然ながら舗装された路面にも雪が積もるため、走行性の良い舗装路が一転、悪路に変わってしまいます。雪道こそ4WDの本領発揮、と断言したいところなのですが、本当に4WDは雪道に強いのでしょうか?

JAF(日本自動車連盟)が2018年2月14日に、雪道を対象とした実験を実施しました。実験の条件は以下の通りです。

・4WD車と2WD車をそれぞれ2台ずつ用意
・4台とも同じ銘柄の新品スタッドレスタイヤを使用
・テストコースは圧雪路
・登坂性能とブレーキ性能を比較

使用された車は以下の通りです。

・スズキ ワゴンR 車両重量790kg(2WD)
・トヨタ プリウス 車両重量1,370kg(2WD)
・トヨタ C-HR 車両重量1,470kg(4WD)
・トヨタ ランドクルーザープラド 車両重量2,090kg(4WD)

テストの結果を見てみましょう。まずは登坂テストです。 勾配が9%の坂道は、4台とも問題なく上ることができました。一方、勾配が20%の坂道になると、4WDは上れましたが、2WDは坂の途中でスリップしてしまい、上りきることができませんでした。

雪道において、勾配の強い坂を上る際には、4WDは威力を発揮するようです。なお、ランドクルーザープラドにて、勾配が20%の坂道の途中で一旦停止し、再び発進しようとすると、タイヤがスリップしてしまい上れなくなりました。

次にブレーキテストの結果を見てみましょう。実験は平坦な路面と勾配が9%の下り坂において、それぞれ時速40kmから急ブレーキする、という形で実施されました。まず、平坦な路面においては4台の制動距離はいずれも20m~22mとなり、あまり差がありませんでした。

一方、勾配が9%の下り坂においては、以下に示すように「車重が重いほど制動距離が伸びる」という結果になりました。

・スズキ ワゴンR:29.1m
・トヨタ プリウス:32.9m
・トヨタ C-HR:35.3m
・トヨタ ランドクルーザープラド:39.6m

以上の結果をまとめると「4WD車は駆動力を伝えることについては2WD車よりも優れているが、制動力については駆動方式による違いはなく、車重の影響を受けやすい」となるでしょう。

4WDのアクセル操作は2WDより優れていますが、ブレーキ操作は2WD車と変わらない、と言い換えてもよいかもしれません。4WDといえど、速度を抑えて急な操作を避けるなど、雪道の基本を守ることはとても重要です。

まとめ

4WD3

4WD3

今回は4WDの仕組みから、4WDが採用される理由、JAFが実施した実験の結果から分かる4WD車のタイヤ選びまで、様々に解説しました。一般的な車は前後輪のタイヤどちらかがエンジンからの駆動力を伝達しますが、4WDの車は4つのタイヤ全てがエンジンからの駆動力を伝えます。

4WD車は悪路や雪道を走行する際に特に威力を発揮します。アフリカ諸国など、未舗装路が多い地域では頑丈で部品の信頼性も高い4WD車のランドクルーザーが人気です。

悪路を長時間走る、というのは日本においてはあまり体感しづらいことですが、雪道は日本でもしばしば発生するため、4WDが役に立つ機会があるでしょう。

一方、4WDといえども、過度の信頼は禁物です。4WDは構造的に車重が重くなりがちなため、特に雪道の下り坂で停止する際は制動距離が長くなる傾向にあります。雪道を走行する際の基本はしっかり守り、安心安全なドライブを心がけましょう。

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