走行が難しい悪路でもしっかりと走ることができるオフロードタイヤ。
一般的に使用されているオンロードタイヤとは何が違うのでしょうか?オフロードタイヤについて解説します。
目次
オフロードタイヤとは?
未舗装の路面やぬかるんだ道を安全に走行できるオフロードタイヤは、トレッド面がブロック状になっています。
このブロックが路面の凹凸に入り込むことで摩擦が生じ、強いグリップ力となって前進していきます。
オフロードタイヤのメリット
オフロードタイヤのメリットは、路面状況が悪い場所でもある程度安全に車をコントロールできる点にあります。
またオフロードタイヤにはいくつか種類があり、オフロード走行の頻度によって適切なタイプを選べば、より快適なドライビングが楽しめます。
オフロードタイヤの苦手分野
オフロードタイヤはゴツゴツとした見た目から雪道走行も可能だと思われがちですが、実は雪道には適していません。
雪道や凍結路面を得意とするスタッドレスタイヤとはゴムの質やトレッドパターンが異なります。
そのためオフロードタイヤで雪道を走行すると思わぬ事故に繋がることもあり注意が必要です。
オフロードタイヤの選び方のポイント
オフロードタイヤは大きく3種類に分けられます。
- マッドテレーンタイヤ
- オールテレーンタイヤ
- ハイウェイテレーンタイヤ
これら3つをメインとなる走行環境に合わせて選ぶようにしてください。
それぞれのタイヤと走行環境について記載していきますので、ご自身でどのタイヤを選ぶかの参考にしてみてください。
オフロード走行がメイン
未舗装の道や砂利道、ぬかるんだ場所の走行がメインであればマッドテレーンタイヤがおすすめです。
タイヤの商品名の後ろに「MT」と記載されています。
オフロード走行を趣味としている方や、普段は公共交通機関で通勤して週末にキャンプに出かける方など、オフロードの割合が高い方に最適です。
マッドテレーン=泥の地形と名付けられたこのタイヤは高ハイト(60偏平以上)のモデルが多く、 性能を十分に引き出すためにはサイズ選びが重要となりますが、マッドテレーンタイヤのマッチングは初心者にはなかなか難しいものです。
国産車のサイズ感に合わせて作られたマッドテレーンタイヤの中には、ホイールサイズを変更することなく履きこなせるものがあります。
初めてマッドテレーンタイヤを使用する方は、国産車向けのタイヤを選ぶと良いでしょう。
もちろんタイヤ選びのプロであるショップスタッフにアドバイスしてもらうのも一つの方法です。
オンロード走行がメインで時々オフロードを走る
オンロードとオフロードのどちらも快適に走行したい人にはオールテレーンタイヤが最適です。タイヤの商品名の後ろに 「AT」と記載されています。
普段は車で通勤するものの、アウトドア愛好家で週末には頻繁にオフロード走行をする方にはオールテレーンタイヤが良いでしょう。
通常路面の走行が可能な分、オフロードの走破性はマッドテレーンタイヤに及びません。
そのため本格的なオフロードを走る場面が多い方は避けたほうが無難です。
街乗りが殆どだがオフロード走破性が欲しい
オールテレーンタイヤのオンロード性能を更に高めたハイウェイテレーンタイヤが最適です。タイヤの商品名の後ろに「HT」と記載されています。
SUVタイヤはどうしてもオフロード走破性に特化しがちで、従来は乗り心地や雨天の安全性などがあまり重視されていませんでした。
そのため最低限のオフロード走破性と街乗りに適した機能性を兼ね備えたSUVタイヤとして、ハイウェイテレーンタイヤが開発されたという経緯があります。
SUVの一つの楽しみがオフロード走行だと考える方、突然の悪路を避けずに走行したい方におすすめです。
オフロードタイヤの燃費や寿命
悪路を走るためのオフロードタイヤは、衝撃に耐えうる剛性を有しています。しかし「摩耗しない」わけではありません。
オフロードタイヤとノーマルタイヤの燃費や寿命を比較すると、どのような違いがあるのでしょうか。
タイヤを選ぶ際には燃費、寿命もチェックしておきましょう。
マッドテレーンタイヤの燃費
オフロードタイヤはあくまで「オフロード走行」に特化した作りになっており、転がり抵抗の低減には着目していません。
特にマッドテレーンタイヤの場合、低燃費性能はあまり期待できません。
またトレッドブロックに詰まった泥や土などを掻き出すためにタイヤが空転することで、実走行分よりも多く燃料を消費しています。
そのためノーマルタイヤと比較して燃費が悪化するのです。
オールテレーンタイヤ/ハイウェイテレーンタイヤの燃費
カーユーザーが高い環境性能を求めている現在、街乗りを意識したオフロードタイヤには十分な低燃費性能が必須といえるでしょう。
オールテレーンタイヤやハイウェイテレーンタイヤは通常路面の走行を想定した作りになっており、低燃費性をアピールしたタイヤも多く開発されています。
高速道路も渋滞している市街地も砂利道も走りたいオールラウンダーは、燃費の面から見てもオールテレーンタイヤやハイウェイテレーンタイヤがおすすめです。
オフロードタイヤの寿命
オフロードタイヤの寿命はノーマルタイヤと同様に製造年週から5年程度、走行距離5万キロ前後といわれています。
製造から4〜5年経過したタイヤは安全走行が難しくなるので、買い替えを検討しましょう。
寿命を縮める空気圧設定に注意
オフロードタイヤは凹凸路面でのグリップ力が求められます。
そのため空気圧を低く設定してタイヤをたわませ、路面との摩擦を強めるユーザーが多くいます。
しかし、この使用方法では接地面の摩耗が進行しやすいため、タイヤの寿命を縮めてしまいます。
また摩擦が強くなるとタイヤが発熱し、更に摩耗が加速します。
多少高価でもグリップ力の高いタイヤを購入し、適正空気圧で走行したほうがコストパフォーマンスが良いといえるでしょう。
交換時期の目安は?
ノーマルタイヤではスリップサインが、スタッドレスタイヤではスリップサインに加えてプラットフォームがタイヤの寿命を知らせてくれます。
実はオフロードタイヤもスタッドレスタイヤと同様、スリップサインとプラットフォームが寿命の目安となります。
オフロードタイヤとしての機能を果たすブロックの深さが新品時の50%になったときに、プラットフォームが出現します。
この状態ではオフロードを安全走行することはできません。
しかし溝の残り1.6mmを知らせるスリップサインが出るまではノーマルタイヤとして使用できるため、通常路面の走行であれば問題ありません。
オフロードタイヤを長持ちさせるコツは?
オフロードタイヤはノーマルタイヤよりも価格が高いため、できるだけ長く使用したいと思うユーザーが多いでしょう。
オフロードタイヤを長く、安全に使用するためにはどんな点に気を付けたら良いのでしょうか。
ノーマルタイヤと同様の扱いをする
前述の通りオフロードタイヤの空気圧調整は、車種ごとの適正空気圧に設定するのがベストです。
またオフロード走行では強い衝撃によってタイヤに傾きが出ることで偏摩耗を起こしやすいとされています。
そのためノーマルタイヤと同様のタイミングでタイヤローテーションを行うことをおすすめします。
異物はこまめに除去
オフロードタイヤはタイヤを空転させることでトレッドの溝に詰まった泥や小石・土などを跳ね飛ばします。
しかし、それでも取り除けないくらい強い圧で異物が詰まってしまうことがあります。
これらを放置すると泥に含まれる水分によってゴム質が劣化したり、次回使用時にそのまま走行することでブロック内部に傷が入るということがあるので注意してください。
オフロード走行後は異物の詰まりを放置せず、小まめに取り除くことが重要です。
サイドウォールも目視チェック
オフロード走行で劣化しやすい部位としてサイドウォールが挙げられます。
深い凹凸や尖った岩などがある路面ではどうしてもサイドウォールに傷が付きやすく、そこから劣化が始まります。
そのためオフロード走行後は傷や擦れがないか必ずチェックを行い、程度によっては修復や交換を行いましょう。
オフロードタイヤはなぜ強い?
オフロードタイヤはノーマルタイヤよりも衝撃に強く作られています。
しかし見た目で分かる違いは接地面がゴツゴツしていることぐらいで、ゴムの触り心地はノーマルタイヤと際立った違いはありません。
オフロードタイヤはなぜ衝撃に強いのでしょうか。
縦方向の補強
タイヤは荷重が掛かると変形します。例えばトラックに重い荷物を積めばタイヤの縦方向に荷重がかかり、タイヤはやや潰れて見えるはずです。
そういった縦方向の荷重・衝撃に対しては「プライ」が威力を発揮します。
タイヤはゴムで作られていますが、ゴムだけでは衝撃に耐えられないため補強材が使われています。
その一つである「プライ」は綿でできたベルトのようなもの。
伸縮性が低い木綿を使ってタイヤ内部を補強することで縦方向の衝撃を受けても潰れにくくなり、オフロードの衝撃にも耐えられるようになります。
横からの衝撃に対する補強
タイヤのゴムに少し傷が入るだけで、そこから徐々に劣化が広がっていきます。
特に弱いのはサイドウォール部分であり、岩や石の尖った部分と接触すると簡単に傷が付き、場合によっては穴が空くこともあります。
オフロード走行では岩や石との接触は日常茶飯事。そのためオフロードタイヤのサイドウォールにも補強材が入っています。
あえてサイドウォールに細工をしているタイヤも
サイドウォールには、タイヤのメーカー名や製造年週などが刻印されているのが一般的です。
しかしオフロードタイヤの中にはサイドウォールにまで溝(パターン)が刻まれているものもあります。
これが路面の凹凸とタイヤの摩擦を強めて踏ん張りを効かせるのに一役買っています。
走行環境に見合ったオフロードタイヤを!
オールテレーンタイヤなどの「オールマイティータイヤ」はタイヤ交換の手間が省け、単価が高くてもそれ以外のタイヤを買い揃える必要がありませんが、マッドテレーンタイヤのような特化型タイヤではありません。
そのため、オフロードタイヤとしての完璧な性能を求めるのであれば、オールテレーンタイヤでは満足できない可能性があります。
どんな走行を望むのか、どんなシチュエーションを想定しているのかをはっきりさせ、走行環境にあったタイヤを選ぶようにしてください。