車を購入・所有すれば、様々な税金を納付する必要があります。
これらの税金にはどんな種類があって、どんな基準で課税されているのでしょうか?
また、もし滞納してしまったときはどのように対処すればよいのでしょうか?
今回は車の購入・所有にあたって必要になる税金についてまとめました。
ぜひ、固定費を把握したい場合や実際に滞納してしまった場合の参考にしてみてください。
目次
購入時にかかる税金
一言で「税金」といっても様々な種類がありますね。まずは、車を購入した際に納付が必要になる税金をチェックしてみましょう。
自動車取得税
その名のとおり、車を取得した時のみ課税される税金です。新車・中古車の区別はなく車の取得価格が50万円を超える場合が課税対象となります。
「取得価格」という言葉の定義も確認してみましょう。
車両本体価格だけでなくカーナビ等を設置したオプション費用も加算して算出します。
具体的には、「(希望販売価格の90%程度+オプション)×税率」という計算です。
税率は車の種類ごとに以下のとおり区分されています。
車の区分 | 自家用普通自動車 | 軽自動車 | 営業用自動車 |
税率 | 3% | 2% | 2% |
自動車重量税
こちらの税金も文字どおり「重量」が課税金額を左右します。車検に記載されている車両重量が、税率を計算するうえで使用される数字です。
重量だけでなく、一時的に「エコカー減税」の措置があったり「経年数」でも金額が変わります。
そのため、購入しようとする車が将来どれくらいの税額になるのか事前に把握することで、長期的な出費が把握できるでしょう。
なお、支払いのタイミングは、自動車購入時と毎車検更新時です。
自動車税
毎年4月1日に車を所有していると課税義務が発生する税金です。税額は4月1日から3月31日までの期間に対してかかります。
車を購入した場合は課税額が月割りになるので、計算する際の参考にしましょう。
例えば5月に新車購入したら、5月から翌年3月までの10カ月が課税対象となります。
税額は車のリットル数により変わるので、車購入の判断材料にしてもいいですね。
1リットル以下(29,500円)、1リットル超から1.5リットル以下(34,500円)という具合に、リットル数によって税額が上がります。
消費税
車購入時にもかかってくる消費税は2019年10月から、8%から10%に引き上げとなります。
ですが、車に関しては特別な措置があるので事前にチェックしておきましょう。消費税率改正と同時に「環境性能割」という制度が適用されます。
購入する車の「環境負荷軽減」のレベルによって1%から3%が減税されたり、非課税になるのです。
初期費用を抑えたい場合、購入時には「環境負荷軽減」を踏まえた車選びが重要となってきますね。
高額な買い物だからこそ、このわずかな税率の違いも大きな影響となるでしょう。
所有しているとかかる税金
次に、車を所有するうえで毎年必要になる税金を見ていきましょう。固定費ともいえる項目なので、事前に把握しておく必要があります。
自動車税
購入時には月割り計算で納付した「自動車税」。毎年4月1日に車を所有していれば課税対象となる税金でしたね。
そのため、仮に廃車する場合は3月31日までに完了させることで手間が省けます。
というのも、自動車税は先に1年分を納付する税金です。
廃車した場合、後ほどご紹介する「還付」が行われるまで、一時的に1年分の税金を負担することとなるでしょう。
軽自動車税
軽自動車は「自動車税」ではなく「軽自動車税」が適用されます。
毎年4月1日時点で車を所有していると課税されるという点が「自動車税」と同じ。
ですが、購入時の月割りの課税はありません。
そのため、例えば5月に軽自動車を購入したとしても、翌年3月分までは「軽自動車税」がかからない計算になります。
初期費用を抑えたい場合、押さえておきたいポイントですね。
ガソリン税
ガソリンには「消費税」の他に「ガソリン税」もかかっています。普段は「税金を支払っている」という実感が少ないかもしれません。
実はガソリンスタンドで支払っている代金の半分程度は税金に充てられています。
自動車重量税
車購入時と毎車検更新時に支払う自動車重量税。「重量」「経年数」「エコカー措置」によって税額が変わると前述しました。
なぜ「重量」で金額が変わるのか疑問に思う人も多いのではないでしょうか?
もともとは道路の修繕費用に充てる目的の税金だったので、道路へ負荷をかける車両ほど税額を高くしているようです。
また、「経過年数」によって税額が変わるのも大きな特徴。
こちらは一例の課税額一覧です。
車両重量 | 2年自家用(継続検査等時) | |||||
エコカー減税適用 | エコカー減税適用なし | |||||
免税 | 50%減 | エコカー | 1~12年経過 | 13年経過 | 18年経過 | |
0.5t以下 | 0円 | 2,500円 | 5,000円 | 8,200円 | 11,400円 | 12,600円 |
~1t | 0円 | 5,000円 | 10,000円 | 16,400円 | 22,800円 | 25,200円 |
~1.5t | 0円 | 7,500円 | 15,000円 | 24,600円 | 34,200円 | 37,800円 |
~2t | 0円 | 10,000円 | 20,000円 | 32,800円 | 45,600円 | 50,400円 |
~2.5t | 0円 | 12,500円 | 25,000円 | 41,000円 | 57,000円 | 63,000円 |
~3t | 0円 | 15,000円 | 30,000円 | 49,200円 | 68,400円 | 75,600円 |
表の右側にかけて、経年数が増えるごとに税額が加算されていきます。13年を超えると税額が上がるのはなぜでしょうか?
自動車重量税は、道路の修繕費だけでなく環境負担も意識した税額設定となっています。
表からはエコカー減税による減税率の高さがうかがえますね。
排ガス低減や燃費基準を達成しているか、電気自動車かどうかなどが適用の判断基準です。
そして、13年を経過すると排ガス性能は大きく低下するといわれています。これが、経過年数によって税額が膨らむ理由です。
なお、エコカー減税は一時的な措置なので、購入時に制度があるかどうかなどによって適用されるか変わります。
廃車時に還付される税金
ここまで様々な税金をご紹介しました。新車購入時に月割りで課税されたのと同様、廃車時にも還付される税金があります。
還付される税金の種類
廃車時に還付されるのは以下の税金です。
- 自動車税(軽自動車税)
- 重量税還
いずれも還付時期は事例によって差が出ます。税金以外だと、自賠責保険還付金も還付対象です。
還付を受ける方法
自動車税は特別な手続きが不要で、車の所有車のもとへ通知が届きます。
ところが自動車重量税の場合は自ら申請する必要があるので、注意が必要です。
ただし、エコカー制度が適用により減免や減税されていた場合、還付は受けられません。
また、こちらの申請については代行を請け負っている業者もいるので、忙しい場合は廃車と同時に依頼してもいいですね。
税金ではありませんが自賠責保険も強制加入の保険。月割りの還付制度があります。
ところがこちらも申請をしないと還付されないので、注意が必要といえます。
各種税金の納期限をチェック
ここまで購入時・所有・廃車時と税金の種類を見ていきましたね。税金によって課税時期や納期限が定められています。
どの時期に支払いが必要になるのかチェックしていきましょう。
車購入時
車購入時に支払う税金は主に販売者が代行してくれるパターンがほとんどです。該当するのは以下の2つ。
- 自動車取得税
- 自動車重量税
いずれも自動車の登録時に申請が行われ、最初の車検を通すタイミングで自動車税事務所に申告して納めます。
毎年支払う税金
次に最も気になる毎年納税義務の発生する税金です。該当するのは以下の2つ。
- 自動車税
- 軽自動車税
4月1日時点で車の所有を確認して課税されるため、納付書は5月中に届きます。納期限は5月31日。
ただし、5月31日が休日の場合は6月の最初の平日になったり、県によって6月を納期限とする特例もあります。
一般的には5月31日と認識すれば間違いないでしょう。
滞納してしまった場合の対処法
定期的に納税する必要がある自動車税ですが、もし滞納してしまった場合どうすればいいのでしょうか?
滞納による影響や対処法を見ていきましょう。
滞納した場合の影響
車検の更新時には自動車税の納税証明書が必要になります。納税証明書とは、税金を納付した際に渡される用紙。
納付を証明する印鑑などが押されており、それをもとに車検に通すことのできる車かどうか判断されます。
車検に通らなければ運転することはできませんね。つまり、滞納すると車が運転できなくなってしまう仕組みとなっています。
延滞金や差し押さえ
税金を滞納すれば延滞金が加算されたり、最悪の場合差し押さえにもなります。
延滞金の率は1ヶ月以内であれば3%以下、以降は9%と、軽視できるものとはいえません。
また、滞納が続くと差し押さえへと移行します。
銀行口座だけでなく給与なども差し押さえの対象となり、守秘義務があるとはいえ、会社内部の人に滞納を知られることも。
特別な理由が無い限り優先的に納付する方がリスクを回避できます。
対処法は?
どうしても支払いが難しい場合「分納」という方法もあります。これは分割して納付すること。
ただし、分納は止むをえない場合の措置なので、簡単に許可がでるわけではありません。まずは税金を管轄する事務所へ相談しましょう。
自動車税は都道府県税事務所、軽自動車税は市町村の税務課が管轄です。
滞納の程度によって担当グループがあり、そこで計画を一緒に組み、何回で分納していくかが決定します。
分納中も延滞金は加算されていくので、なるべく早い期間での分納計画にする方が負担は少なくなるでしょう。
また、分納の相談時には具体的な資金繰りについて質問される可能性があります。
分納中に車検を通すことは可能?
分納する際に気になるのが「分納中に車検を通すことは可能かどうか」。
車検の定義としては、自動車税を全額納付した状態である必要があります。
そのため、車検時期をまたぐことなく分納の計画を組みましょう。
もしそれまでに支払いができない場合、イレギュラー対応が可能かどうかは実際に車検を通す立場の判断によります。
基本的には不可能であると考えておきましょう。
最後に
様々な税金がありますが、多くは購入時や車検時に支払うことになるので滞納の心配が軽減されるでしょう。
最も注意しておきたいのが最後にご紹介した自動車税と軽自動車税です。
せっかくの車が運転できなくなってしまえば、生活に支障をきたすだけでなく、購入したメリットも阻害されてしまいます。
購入時にあらかじめ税額を確認しておき、後々の負担を軽減することで、将来起こりうるリスクを減らすことができるでしょう。