車のフロントガラスは運転する上で1番大切なガラスです。
このヒビ割れは運転に直接影響するので、他の場所とは訳が違います。
今回はフロントガラスのヒビ割れの原因や対処法、ヒビの放置が危険な理由を徹底解説します。
またフロントガラスのヒビと車検の関係についても紹介します。
目次
フロントガラスは面積が1番広い!
運転席の真ん前にある上に面積が最も広いフロントガラス。
強度は一体どうなっているのでしょうか。
フロントガラスの強度は?
フロントガラスはかなり強度の高いガラスでできています。
これはやはり運転席の前だからこそです。
水族館の水槽のガラスほどではありませんが、透明度の割に厚みもあり多少の衝撃では割れません。
フロントガラスの耐久性は?
フロントガラスは強度が高い上に粘着シートを挟んで層にして重ねてあります。
この構造によって一層傷ついてもガラスが飛散せず、また次の層のガラスのヒビ割れを防いでいるのです。
フロントガラスは非常に耐久性の高い構造をしているといえます。
ヒビ割れの原因は?
それだけ強度も耐久性も十分なフロントガラスにヒビが入る原因には何があるのでしょうか。
実は車を運転する限りどれも避けられないものなのです。
跳ね上がる物体
車の走行中に前の車が跳ね上げた小さな石や砂利が車目掛けて飛んでくることは避けられません。
また高速道路などではダンプカーやトラックから石や積載物の一部が飛んでくることもあります。
こうした避けようがない物体がフロントガラスに衝突すればガラスを傷つけてしまうのです。
走行しているスピードによっては、耐久性が高いフロントガラスにもヒビを入れるほどの衝撃となります。
逆らえない温度変化
フロントガラスは強度が高いものの「急激な温度変化に弱い」というガラス特有の特性は変わりません。
そのため炎天下に放置していた車を冷房で急激に冷やしたり、冬の屋外に置いていた車を急激に温めるとガラスが割れることがあります。
これは熱で膨張して冷やすと収縮するガラスの特性に、二重ガラスの内外の層がついていけないためです。
1回の温度変化だけでは問題がない場合でも、何度が繰り返すとガラスに疲労が蓄積してヒビ割れることもあります。
ガラスを二重に重ねて耐久性を上げているからこそ起こるヒビ割れなのです。
耐え難い風圧
車に乗っていれば強い風が吹いていても快適に過ごせます。
しかしフロントガラスに微細なヒビが入った状態では風圧によって振動が加わり、ヒビが大きくなってしまうこともあります。
ヒビが大きくなることによる危険性は後で述べていきます。
日本は四季があったり台風が襲来したりと気候変動が激しい国です。
そのため日本で車を運転する以上、ヒビ割れの原因となる風圧にも気を付けなければなりません。
ヒビ割れの対処法は?
ヒビが入るタイミングは誰にも予測することができません。
そんな不慮の事故であるヒビ割れに対してできることはあるのでしょうか。
※本記事はフロントガラスを自己判断で対応することは推奨しておりません。
フロントガラスのヒビ割れは重大な事故に繋がる可能性があります。
基本的にはすぐに専門の業者に修理してもらうようにしてください。
応急処置は?
ヒビ割れの応急処置として、セロハンテープで留めることが挙げられます。
あくまでも応急処置であり補修手段ではありません。
これ以上ヒビが広がったり、ガラスが飛散してしまったりすることを防ぐための一時的な処置となります。
修理できる傷は?
フロントガラスがヒビ割れたというと絶望的に聞こえますが、修復できる傷も存在します。
ただしガラス磨き用のセリウムなどで研磨できる、ごく浅い傷のみです。
研磨用のコンパウンドは目が粗く、逆に細かい傷を付けてしまう恐れがあるので、必ずガラス用のものを使用しましょう。
また深い傷は修理できません。
自分で修理
自分でヒビ割れを修理するという方法もあります。
破損したフロントガラスとそれを覆うシートの間に空気が入ってヒビ割れのように見えるケースは修理可能です。
この空気を専用機器で吸引し、ガラス修理用の液体(レジンなど)を注入します。
ただ文章で見ると簡単そうですが、実際に行うのはとても難しく費用もかかります。
まず安全ピンやカッターなどでヒビ内部の異物を取り除き、シリンジで空気を抜きます。
そこからヒビの部分に液体を注入します。
フロントガラスのヒビの修理に使われるレジンなどの液体は、条件が揃えば一瞬で硬化する非常に特殊な液体です。
それを15分から30分ほど時間をかけてゆっくりと、ヒビ全体に行き渡るように注入し、紫外線を20秒ほど照射します。
紫外線によって液体を硬化させれば修理完了です。
注入用の液体とガラス防護用の液体は異なるものを使用します。
どちらも15mlで1万円ほどする高価な材料です。
また吸引と注入が1台でできる専用機器もありますが、1台20万円ほど。
それを使ったとしても、自力修理はよほど慣れている方以外にはおすすめできません。
ヒビ割れの修理を業者に依頼すると1万5,000円〜2万5,000円の相場で対応してくれます。
ヒビ割れが酷いときにはフロントガラス全体の交換となる場合もありますが、下手に修理するよりも確実です。
市販の修理用簡易キットでは満足行く修理が行えない場合も多いのでご注意ください。
ヒビの放置はなぜ危険?
ヒビの放置が良くないということは感覚的に分かりますが、なぜ危険なのでしょうか。
ヒビの放置の危険性について解説します。
ヒビは広がる
実は一度できたヒビ割れは徐々に広がっていきます。
いくら粘着シートで層が作られているとはいえ、ガラスのヒビ割れを粘着で止めることはできません。
ヒビ割れたガラスが走行中に落下する可能性や、小さかったヒビが放射状に広がってしまう可能性があるのです。
小さなヒビ割れの放置がより大きなヒビ割れとなり、自車や他の車の運転・走行を妨害して事故を起こすリスクがあり大変危険です。
タイミングが読めない
小さなヒビ割れが大きなヒビになる可能性があるのはもちろん、ヒビが大きくなるタイミングが読めないのも危険のひとつです。
ガレージに駐車中であってもメンテナンスの際にヒビが大きくなり、ガラスが飛散すればケガをする恐れがあります。
また走行中にヒビが拡大し、ガラスの破片の一部が飛んでしまえば対向車のフロントガラスを傷付ける可能性もあります。
いつヒビが入り、そのヒビがいつ大きくなるのか分からないのは、大変危険なことなのです。
ヒビ割れを起こさないために
フロントガラスはヒビ割れやすいものなのかというと、そうではありません。
ヒビ割れの経験がないドライバーもいることでしょう。
そうした方々に共通する事柄は一体何なのでしょうか。
車間距離を保つ
とても基本的なことだと思われるかもしれませんが、前の車からの飛び石を防ぐためには非常に重要なことです。
あまり車間距離を詰めすぎると前の車が後輪で跳ね上げた小さな物体をも避けられなくなり、フロントガラスが損傷してしまうのです。
スピードを出さない
スピードを出さないということも基本的なことだと思われるかもしれません。
しかしこれは最も重要です。
たとえば子供が投げたゴムボールは、当たってもあまり痛くはありません。
しかしこちらが子供に向かって走っているときにゴムボールが当たった場合、衝撃や痛みは強いはずです。
小さな石がフロントガラスにぶつかっても傷すら付かないかもしれません。
しかし時速100kmの車が石に向かって走っていけば、フロントガラスが受ける衝撃は大きくなり、ヒビ割れを起こすかもしれません。
制限速度を守り、スピードは出し過ぎないようにしましょう。
温度変化を最小限に
猛暑日には車にカバーをかける、もしガラスが凍ってしまった場合には熱湯ではなく解氷剤で氷を溶かす、ということも大切です。
フロントガラスは、できるだけ急激な温度変化にさらさないようにしましょう。
割れるときは割れる
車間距離やスピードに気を付けていても、フロントガラスは割れるときには割れてしまいます。
そんな場合の対処法について解説します。
業者選び
フロントガラスのヒビを修理しても、その後絶対にそこから割れることがないとは限りません。
しかし割れてしまう「確率」は低くなりますし、後に述べますが車検も通ります。
早めに修理することがおすすめなのです。
そんな中で気になるのが業者間での施工の完成度の違いです。
実はかなりばらつきがあるといわれています。それは業者によって技術力や使用する工具が異なるからです。
ガラスの修理に慣れている業者や、技術力や工具がしっかりと整えられている施工業者を選ぶようにしましょう。
買い換え検討なら
もし買い替えを検討しているときにフロントガラスにヒビが入ったら、修理に出す前に一度査定をしてもらいましょう。
車が買取適用外で引き取りになった場合、引き取り代と修理された個所の再修理代金が二重にかかってしまうからです。
できれば出費は抑えたいという場合、先に査定に出すことをおすすめします。
ヒビは車検にも影響する?
故障はもちろんのこと、傷に対しても厳しく検査する車検ですが、フロントガラスのヒビ割れは車検に影響するのでしょうか。
体験談をもとに、フロントガラスのヒビ割れが車検でどんな扱いを受けるのかについてまとめました。
車検の基準は?
車検の基準は、残念ながら明かされていません。
ただ「道路運送車両保安基準」第195条では以下のように規定されています。
自動車(二輪自動車、側車付二輪自動車及び最高速度40km/h未満の自動車を除く。)の
前面ガラス等のうち前面ガラスの強度等に関し、保安基準第29条第2項の告示で定める
基準は、次の各号に掲げる基準とする。一 損傷した場合においても運転者の視野を確保できるものであること。
二 容易に貫通されないものであること。
出典元:https://www.mlit.go.jp/common/001056456.pdf
そして基本的に1cm以上のヒビがあると、運転席の視野を脅かし貫通する恐れもあるので車検に通らないといわれています。
同様に運転席側にあるフロントガラスの傷もアウトです。
もし、そういうものがある場合には修理が必要になります。
ヒビがあまりに広範囲に及ぶと修理ではなく交換が必要だとみなされる場合もあります。
車検に通らず交換費用がかかったり車両保険の適用に時間が掛かる可能性もあるため、修理は早めに行いましょう。
車検に落ちるケースは?
ヒビの大きさや場所によっては走行に支障があると判断され、車検に通らないこともあります。
運転席の前のヒビ割れは小さなヒビ割れでも落とされることが多いです。
ヒビのない愛車で!
愛車にヒビが入ったとなるとすぐにでも修理に出したい方がほとんどでしょう。
しかし忙しくてなかなか修理に出せないこともあります。
ただフロントガラスのヒビ割れは、放置すると非常に危険です。
たとえ車検が近くなくとも、小さな傷でも、早めに修理して安心安全なカーライフをお楽しみください。