車に傷をつけてしまった時、業者に修理を依頼すべきか自分で修理するか悩む方もいることでしょう。
そこで今回は傷の程度に応じた対処方法を解説します。
修理・DIY・保険適用の目安や傷を放置してしまったときの結末まで詳しく紹介します。
車の傷に悩む方はこちらを参考に愛車やお財布にもベストな対処法を見つけてください。
目次
車の塗装の構造を理解しておこう
車の修理方法を適切に判断するために、まずは車の塗装の構造について再確認しておきましょう。
車の塗装の構造
車の塗装は最外層から、ツヤを出して車のボディを保護する透明な「クリア層」、車のボディを染める「カラー層」となっています。
その下にサビ止めやボディのカラー発色をよくするなどの役割を担う「下地層」があります。
その下に樹脂や鉄製の「ボディ」がある構造です。
車の傷の程度を判断するときにはこの構造を理解しておくことが重要です。
塗装の厚さはわずか0.1mm
一般的に車のボディの塗装はわずか0.1mm(100μm)程度といわれています。
そのため一見すると浅い傷に見えても、よく観察すると傷がボディまで達している場合もあるのです。
車の傷を見つけたときには注意して傷の深さを観察してください。
車に傷ができてしまったとき
車に傷ができてしまったときは、まず傷の程度や範囲についてしっかりと観察することから始めましょう。
車の傷の状況をきちんと理解しておくと、適切な対処方法が選択できます。
ではどんな点に着目して観察すれば良いのでしょうか。
傷の場所と範囲
車に傷が付いたことが明らかな場合は、傷の場所や範囲を特定することは容易です。
しかし気付かない間に傷が付いていたというケースも少なくありません。
こうした場合は意外に傷の範囲が広かったり、思わぬ場所にも傷が付いていることもあります。
効率的に傷を修理するためにも傷の場所や範囲を入念に確認しておきましょう。
傷の深さ
傷の深さやへこみの程度は、DIY修理が可能かどうかの大きな判断目安にもなります。
ごく表面だけの傷であるのか深さがある傷なのか、汚れを丁寧に取り除きながら確認してみてください。
このような傷はプロへの修理依頼を考慮
例え小さな傷1つでも愛車の外観を損ねることは大きなダメージです。
できるだけ早く修理するためにDIY修理を検討する方もいるでしょう。
しかしDIY修理に使用できるアイテムは限られますし、ある程度の技術や慎重さが求められます。
そのため傷の状況によってはプロに修理を依頼した方が効率的かつ綺麗に修理できるという場合もあるのです。
愛車の傷修理をプロに依頼するのが望ましいケースとして、どのようなものが挙げられるのでしょうか。
「カラー層」を超える傷
ごく限られた小さな傷であれば「DIYで修理してしまおう」という方もいるでしょう。
しかしカー用品店で手に入る修繕キットで綺麗に修理するのは難しい場合もあります。
それが「カラー層」を超えるほどの深い傷です。
傷が深いほど、修理の経験や熟練した技術が必要になります。
そのため傷がなかったかのように綺麗に修理したい方は、プロに依頼した方が無難です。
フロントガラスの傷
フロントガラスも飛び石などで傷付きやすい部位です。
カー用品店ではフロントガラスの傷を修理するキットも販売されています。
ですから小さな傷なら時間や手間を掛ければ自分で修理することが可能です。
しかしフロントガラスは耐久性や安全性の面から、修理できるのはフレームから10cm以内かつ500円玉大未満の傷に限られます。
500円玉大以上の傷は修理不可能なため交換が必要になることを理解しておきましょう。
このような傷はDIY修理にチャレンジしてみよう
それではDIYで修理できる車の傷はどのようなものが挙げられるのでしょうか。
表面に出来た浅い傷
「知らぬ間に擦り傷が増えた」「うっかり擦ってしまった」ということはありませんか?
表面を軽く擦っただけの「ごく浅い傷」の場合は、コンパウンド研磨やスプレーを利用した塗装によるDIY修理が可能です。
しかしスプレー塗装による修理はへこみを伴なわない傷が対象になります。
スプレー塗装は特別な技術を必要としないため、初心者でも手軽にDIY修理にチャレンジできるでしょう。
引っ掛けたような傷
どこかに引っ掛けたような傷を見つけたときには「修理に出さないとダメかも」とすぐに諦めていませんか?
実はこうした線状の傷も、カー用品店で購入できる修理用品で対応可能です。
例えば耐水ペーパーやパテなどの製品を使い、簡単な作業でDIYによる修理ができます。
目安としてはボディの塗装が少し剥がれた程度の傷です。
DIYによる修理にチャレンジするか悩む場合は、まず傷の深さと塗装の剥がれ具合をよく観察してみてください。
こんなときには保険適用を考慮
車の傷は場合によっては保険でまかなえることがあります。
自己負担による修理ではなく保険適用を考慮するべき目安をご紹介します。
自己負担額よりも保険料の増加の方が安いとき
加入している自動車保険を適用して修理すると更新時の保険料は値上がりするのが一般的です。
そのため自動車保険を利用する前に修理費用の見積もりと、値上がり後の保険料を試算する必要があります。
この2つの費用を比較して、保険料の値上が分の方が安価で済むときは自動車保険を適用するのがおすすめです。
事故で相手の過失割合が高いとき
事故による傷で相手の過失割合が高い場合、相手の自動車保険で傷の修理費用がまかなえることもあります。
その場合には自己負担額による修理ではなく、相手の保険会社に確認しながら保障範囲内で修理を依頼するのがおすすめです。
保険適用時の注意事項
自動車保険適用の際には理解しておくべき注意事項がいくつかあります。
更新時に保険料が値上がりする
前述の通り、自動車保険を適用すると保険会社の規則によって等級がダウンします。
等級ダウンに伴なって更新時の保険料が値上がりすることを覚えておきましょう。
複数の傷は「複数の事故」としてカウントされる
「どうせ修理を依頼するなら何か所かまとめて修理してもらおう」と考える方もいるかもしれません。
実はこの場合「1つの事故で生じた複数の傷」ではなく「複数の事故で生じた複数の傷」としてカウントされてしまいます。
そのため自動車保険を適用すると複数の事故として扱われ、等級がダウンして保険料も値上がりするので注意が必要です。
「免責金額」も確認すべし
いよいよ保険を適用して車を修理しようと決めた後に「免責金額」があることに気付くケースも。
「免責金額」とは、修理費用の自己負担額のことを指します。
例えば免責金額を10万円に設定していた場合について説明しましょう。
修理費用が30万円掛かるときには10万円を自己負担額として支払い、残りの20万円を保険から受け取ります。
自動車保険料が安い場合は免責金額が高額な場合が多いため、必ず確認しましょう。
いたずらによる傷でも等級ダウン
いたずらによる傷だと明らかに分かる状態であっても、保険を適用すると等級がダウンするのです。
それに伴い更新時の保険料は値上がりし、等級回復までの期間もその金額を支払い続けなければなりません。
等級回復までの期間は各保険会社に確認しておくとよいでしょう。
車の傷を放置するとどうなる?
「傷は軽微だからそのままでも大丈夫」「気にならないし費用もかさむから修理しない」という方もいるかもしれません。
しかし傷の程度によっては愛車への深刻なダメージに繋がりかねないのです。
サビが生じる
小さな傷でも深刻なダメージになるケースとして「サビ」が挙げられます。
特に塗装が剥がれてむき出しになったボディ(鉄)は、外気や水にさらされるとサビを生じます。
そのため外観を損ねるだけでなく、ボディ自体を劣化させてしまうのです。
また小さな傷部分から塗装が徐々に剥がれ、サビが進行することもあります。
修理必要範囲が広くなる
前述した通りボディーの塗装はわずか0.1mm(100μm)ほどしかありません。
そのため、それ以上深い傷となると容易にボディが露出することになります。
ボディが露出するほどの傷は、例え傷が小さく見えても放置したままでは塗装の内側でサビが傷の周囲に進行していくのです。
その結果として修理範囲も広くなってしまいます。
修理費用が高くなる
例え小さな傷であっても放置しておくとボディ露出の危険性を高め、知らぬ間にサビや傷を周囲に広めてしまいます。
塗装の下でサビが広がってしまうと、業者に修理を依頼しなければならなくなるのです。
そのため修理の時間も費用もかさむ結果となってしまいます。
小さな傷でもすぐに修理しよう
大切な愛車には、例え小さくても傷を付けたまま放置したくはありません。
また放置するとサビが拡大し、修理の時間の長期化やコスト増に繋がります。
そのため車の傷はこまめに修理することが愛車にもお財布にも優しいのだと覚えておきましょう。
愛車のコンディションや運転時の安全性を確保するためにも修理を怠らないことが大切です。