車を運転する方にとって定期的に車検を通すのは義務として当たり前ですが、うっかり車検切れになってしまうケースも少なくありません。
車検切れの状態で運転すると罰則や罰金の可能性もあり、再び車検を受けるためには多少の手間もかかってしまいます。
そこで今回は車検切れにどう対処するのかを解説していきます。
目次
車検切れについて解説!
あらゆる車に定期的な実施が義務付けられている車検。
車を運転する上では必要不可欠な手続きですがしばらく車に乗る機会がなかったり、忙しくてつい忘れてしまったりして車検切れになるのも珍しくありません。
車検切れの状態だと罰則や罰金の対象となる可能性もあり、場合によっては刑事責任に科せられてしまう一大事です。
そこで今回は車検切れについて解説します。
車検切れの確認の仕方や車検切れの罰則・罰金、実際に車検が切れた場合の対処法も確認していきましょう。
車検切れの確認
車検の有効期限
車検の有効期限は車両の種類によって定められており、一般的な自家用車の場合、新車は3年、それ以降は2年ごとに車検を更新する必要があります。
有効期限が切れる1ヶ月前から車検を受けることが可能で、車を運転するためには欠かせない手続きです。
車検切れの確認の仕方
車検の有効期限は車検証やフロントガラスに貼られた車検標章から確認できます。
車検標章を見ると表面に年月、裏面には日付が記載されていますね。
ディーラーや特定の自動車工場で整備を行っている場合はダイレクトメールで車検の有効期限のお知らせが目安になるかもしれません。
車検切れの罰則や罰金
車検切れだけでは罰則・罰金に該当しない
ただ、車検が切れただけでは罰則や罰金には当てはまりません。
車検切れの車を所持することや私有地で運転することは法律で禁止されていないのです。
罰則・罰金を受けるのは車検切れの車で公道を走行した場合。
車検は車の使用者に義務付けられ、公道を安全に走行するため許可を得ていることの証明です。
よって車検切れの車で公道を走行するのはいかなる理由があっても許されない行為になります。
車検切れの罰則や罰金
車検切れの車で公道を走行すると無車検車運行に該当し、道路運送車両法違反で6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金に科されます。
普通に車検を通す以上の罰金の支払いが命じられるだけでなく、違反点数の6点が加算され30日間の免許停止処分に処されて刑事責任も問われます。
過去に前歴があれば免許剥奪の可能性も高くなり、故意や悪意が認められた場合は現行犯逮捕され前科扱いになってしまうのです。
自賠責保険が切れた場合の罰則・罰金
自賠責保険は車の所有者全てに加入が義務付けられています。
自賠責保険がない状態で公道を走行すると自賠責損害賠責法で定められた無保険運行に該当し、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金。
こちらも違反点数6点となり30日間の免許停止処分です。
もし車検切れの車を自賠責保険なしで公道を走行した場合は罰則・罰金が併合され、1年6ヶ月以下の懲役又は80万円以下の罰金が科されます。
違反点数は合計して12点に上るため免許停止期間も90日間となるさらに重い刑罰を受けることになるのです。
車検切れの車で事故を起こしても保険適用外
また車検切れの車で事故を起こしてしまうと任意の自動車保険に加入していても適用対象外となります。
自分の車の修理代や相手への賠償金はもちろん、事故に巻き込まれ自身が被害者になった場合の補償も受けられません。
全ては個人負担となり万が一車検切れの状態で死亡事故を起こしてしまった場合、莫大な損害賠償が発生し大きな代償を一生背負い続けることになります。
車検切れの取り締まりは厳しくなっている
2017年9月末に国土交通省と警察が共同で「ナンバー自動読取装置」の試用運転を開始、2018年度から全国各地で導入が進められています。
「ナンバー自動読取装置」は瞬時にナンバーを読み取ってデータベースと照合することで車検切れの車を特定する装置です。
国土交通省の統計によると全国で約20万台もの車が車検切れの状態で公道を走行している事実が判明しています。
無車検運転の危険性を危惧し、厳しい罰則・罰金の設定に止まらず車検切れの車対策を国として強化する方針を打ち出したのです。
これにより公道を走行する車検切れの車に対して今後より一層厳しい取り締まりが行われるでしょう。
車検切れの対応
車検切れに気づいたら
先述したように車検切れの車を運転できないのは言うまでもありません。
では車検切れに気づいたら実際どうすればいいのでしょうか。
車検が切れた場合の選択肢は3つ。
売却または廃車にするか、処分せずに再び車に乗り続けるのか。
車検切れの車をそのまま置いておくことに問題はありませんが最終的にこのいずれかを選択せざるを得ません。
車検切れの車を処分するには
事情があって今後も車に乗れない場合や車を手放したい場合は売却を検討するか廃車にすることになるでしょう。
例え車検が切れて車に乗らなかったとしても登録状況によって自動車税は課税されていきます。
車検切れの車でも売却は可能で、車が良好な状態であれば車検切れでもマイナス査定になることはありません。
人気の車種は買取金額が高額になるので手放すなら早いうちがいいでしょう。
ほとんどの中古車販売店では無料出張査定を実施しているので現時点での実際の価値を査定してもらうのもおすすめです。
また所有する車の市場価値がない場合は廃車手続きを行うことになります。
車検証さえあれば車検切れの車も廃車手続きは可能で、廃車買取業者に依頼すると手続きを全て代行してくれます。
無料引き取りを行う業者も多く、場合によってはパーツに買値がつくこともあるようです。
車検切れの車でも車検は可能
そもそも車検が切れた車でも再び車検を受けられるのか、疑問に感じる方も多いでしょう。
車検切れの車でも通常の車検更新時と変わらず車検を受けることができます。
車検切れの車だからといって車検自体には高い費用がかかることもなく、通常の車検費用と必要書類を揃えれば車検を通すことが可能です。
そのため車検切れの車が再び車検を受けることに全く問題はありません。
車検が切れてしまっていることで国や国土交通省に特別な届け出をする必要もないのです。
車検切れの車を自分で持ち込んで車検を通す方法
再び車検を通す前に
では車検切れの車を再び車検に通すには具体的にどんな手順を踏めばいいのでしょうか。
車検切れの車を再び車検に通す際の問題点は公道を走れない車検の切れた車をどのようにして検査場や車検工場、ディーラー等の店舗に運ぶのかという点です。
ここでは車検切れの車を再び車検に通すまでの方法を解説していきます。
仮ナンバーの取得方法
仮ナンバーとは役所の窓口から交付されるナンバープレートでこれを取得すると車検切れの車でも公道を走ることが許可されます。
普通のナンバープレートと同じ形ですが全体に引かれた大きな赤い斜線が目印です。
自宅の所轄の役所・役場の窓口で申請を行い、書類に不備がなければその場で仮ナンバーが貸し出されます。
仮ナンバー取得の費用と必要書類
仮ナンバー申請時に必要な書類は以下の3点です。
- 運転免許証
- 車検証
- 自賠責保険証の原本
印鑑も忘れずに持っていきましょう。
「自動車臨時運航許可証明書」に必要事項を記入し、必要書類と一緒に窓口に提出します。
仮ナンバーの取得にかかる手数料は各自治体によって相違がありますがだいたい750円程度のようです。
仮ナンバーの注意点
仮ナンバーには3~5日の有効期限が定められています。
仮ナンバーは車検切れの車を検査場や車検工場に運ぶためのものです。
自分で公道を運転できるようになりますが申請時に走行経路を提示する必要があります。
仮ナンバーをつけた状態で申請経路以外のルートを走行すると違反の対象になってしまうのです。
あくまで検査場や車検工場までの運転が一時的に許可された「仮」のものだということを忘れないように注意してください。
ちなみに仮ナンバーを返却しないと道路輸送車両法違反に該当し6ヶ月以下の懲役又は30万以下の罰金に処せられることがあるので必ず返納しましょう。
自賠責保険も忘れずに
仮ナンバーを取得すれば自分で直接検査場や車検工場、店舗に車を持ち込めますが、もう一つ注意しなければならない点があります。
それは車検と共に義務付けられている自賠責保険です。
自賠責保険は車検時に更新することがほとんどのため、車検切れの車は自賠責保険も切れている可能性が非常に高くなります。
仮ナンバー取得手続きにも自賠責保険証が必要となるため仮ナンバーの取得前に自賠責保険の加入手続きも行わなければなりません。
自賠責保険は割高にはなりますが1ヶ月単位で加入できます。
仮ナンバーを取得する際に忘れないように注意しましょう。
自分で車を持ち込む以外の方法
車検切れの車を検査場や車検工場、店舗まで持ち込む方法はもう一つ存在します。
それは車検業者やディーラーに手配してもらいレッカー車等の車両運搬車で車検切れの車を配送してもらう方法です。
故障や事故で車が動かなくなった場合と同様の対応になります。
当然ながら車検代とは別に車両運搬料金が発生しますが、仮ナンバーを取得したり自分で手続きをする時間が確保できない方にはおすすめの方法です。
レッカー車による車両運搬の費用は移動距離に応じて異なります。
仮ナンバーの発行手続きを代行する業者もありますが、こちらも発行手数料以外に代行手数料もかかるようです。
引き取り納車サービスを利用しよう
自宅や駐車場まで車を引き取りに来て車検終了後の納車までを一括で行う引き取り納車のサービスを提供する業者も存在します。
一般的には有料ですが、引き取り納車を無料サービスとして受けられる業者もあるようです。
引き取り納車には店舗によって対応エリアが定まっているため問い合わせ時に必ず確認しておきましょう。
通常の車検時と同じく代車の貸し出しに対応している業者もあります。
近日中に車を使う予定のある方は代車の有無も事前に確認しておくのがおすすめです。
車検満了日に注意して車の安全維持に努めよう
車検切れの車を再び車検に通すには予想以上に時間と費用がかかってしまうことがわかりました。
普段から車検満了日を意識して凶器にもなり得る車の安全維持に努めることがなにより大切です。
車検切れに気づくと焦ってしまい冷静に行動することが難しい状態に陥ってしまいます。
仮ナンバーの手続きと注意点も踏まえた上で、時間や費用面もしっかり検討して自分にとって最適な方法で車検切れに対応しましょう。