2019.03.21

タイヤと雪の関わりとは!?

タイヤと雪の関わり、特に冬の道路を走行時には深いものがあるのではないでしょうか。今回は運転する際の注意点はもちろん、スタッドレスタイヤへの交換や、凍結路面で起こる現象など解説しております。

Cars on an ice city winter road with trees around

凍結路面や圧雪路面ではスタッドレスタイヤを着用して走行しなければならないということは、もはや常識となりました。スタッドレスタイヤでないと冬の雪道で車を走らせることなどできない、という方も多くいらっしゃることでしょう。

ですが、突然の降雪でタイヤ交換が間に合わなかった、旅先での急激な天候の変化によってスタッドレスタイヤへの交換ができなかった、ということは十分に考えられるトラブルです。そのような状況の中、やむを得ずノーマルタイヤのまま雪道を運転しなければならない場合、どのような点に注意すべきなのでしょうか。

今回はやむを得ない状況の中で運転する際の注意点を解説します。突然のトラブルにも慌てず、焦らず、ですが素早く対応できるように知識を身につけておきましょう。

ノーマルタイヤで雪道を運転するリスク

まず大前提として、ノーマルタイヤで雪道を走行することは道路運送車両法に違反します。2016年からは法律が改正され、雪道で立ち往生した車に対しては別途、反則金(普通車では6,000円)が科されるようになりました。

雪道での立ち往生に対して反則金が取られる場合、交通違反による免許の減点はありません。ですが雪道での立ち往生は一酸化炭素中毒事故などの二次被害を引き起こしかねないため、雪道での立ち往生は重大な問題であると考えられています。

2018年1月に北陸自動車道で大規模な立ち往生が報道されたことは記憶に新しいことでしょう。

スタッドレスタイヤを履いていれば安心かというとそうでもありません。路肩に大量の雪があったり、豪雪地帯での走行時にはスタッドレスタイヤはもちろん、タイヤチェーンも常備しておく必要があります。

全車チェーン規制がかけられた区間はスタッドレスタイヤだけでは走行することができません。また、2018年12月からは国土交通省が国内13区間の高速道路において冬期のチェーン着用を義務づけることを決定・施行しており、今後もチェーン着用の義務化区間は増える見通しとなっています。

以上のように、ノーマルタイヤで雪道を運転することは法令に違反しますし、ひとたび立ち往生してしまえば命の危険にも繋がります。可能な限り、事前に対策をしておきましょう。

ノーマルタイヤで雪道を運転する際の注意点

どれほど対策を心がけていても、人は忘れる生き物ですし、想定外の事態は必ず発生します。もし不運にも天候が急に変わり、ノーマルタイヤの状態で雪道に遭遇した場合、以下の5点に注意して運転しましょう。

なお、以下の注意点はあくまで「安全な場所まで移動するためのテクニック」です。安全な場所まで移動したら、ロードサービスに救援を要請して積雪路面を走れるようにタイヤを交換してもらうか、レッカー移動してもらいましょう。

1つ目:フットブレーキを多用しない

減速する際はなるべくエンジンブレーキを活用しましょう。オートマチック車であっても、ギアをドライブ(D)からセカンド(2)やロー(L)に入れることでエンジンブレーキが効くようになります。

フットブレーキは制動力が強すぎるため、雪道ではすぐにタイヤの回転が止まる、いわゆる「ロックがかかる」状態となり、タイヤが回転しているときよりも滑りやすくなります。

タイヤにロックがかかるとハンドルも効かなくなってコントロールを失ってしまいます。エンジンブレーキは制動力が穏やかで、タイヤをロックしてしまう可能性が低くなります。とはいえ過信は禁物ですから、速度を出しすぎないという大前提は守りましょう。

2つ目:十分な車間距離を空ける

雪道や凍結路面におけるノーマルタイヤは著しく制動力が低下しているため、いつもの3倍以上は先行車との車間距離を取るようにしましょう。3倍、と聞くと「そんなに?」と思われるかもしれませんが、その程度、あるいはそれ以上に用心する必要があります。

一般的なドライバーは自分が思っているよりも短い車間距離を取りがちである、ということが平成23年の国際交通安全学会誌における報告で明らかになっています。具体的には、ドライバーは先行車が通過した地点を自車が通過するまでに3秒が経過する程度の車間距離を取っているつもりなのですが、実際には1秒程度の距離しか車間を取っておらず、ドライバーは自分が取っている車間距離を過大に評価している、というものです。

自分は大丈夫などとは思わず、いつもの3倍ほど、用心しすぎだと感じられるくらいには車間距離を取りましょう。

3つ目:右カーブに注意する

右カーブはゆるやかで見通しが良いため油断しがちですが、対向車にとっては左カーブとなり、見通しが悪くなるためこちらを認識できていない可能性があります。

また左カーブは右カーブに比べてどうしても急な曲がり方になってしまうため、雪道ではタイヤが滑ってスピンしてしまう可能性が高まります。以上の理由から、雪道の右カーブにおいては対向車がこちらに突っ込んでくる危険性が高くなります。

ゆるやかな右カーブであっても普段以上に減速し、対向車の速度や動きによく注意して、スリップやスピンに巻き込まれないよう心がけましょう。

4つ目:ブレーキとハンドルを同時に操作しない

1つ目でも解説しましたが、タイヤにロックがかかるとドライバーはクルマのコントロールを失ってしまいます。そしてブレーキとハンドルを同時に操作してしまうと、タイヤはよりロックしやすくなります。

カーブの曲がり始めではブレーキをかけつつハンドル操作をしてしまいがちですが、雪道をノーマルタイヤで走行している際にはとても危険な操作となります。

対向車線や路肩に突っ込んでしまう危険性が一気に高くなるため「ハンドル操作をする場合はブレーキではなくアクセルを弱く踏む」という意識を強く持ちましょう。アクセルを弱く踏むことでタイヤが雪道にグリップし、走りやすくなります。

5つ目:わだちを走行する

他の車が走行したタイヤの痕は、グリップしやすい部分の目印です。雪が押し固められていたり、路面が露出していたりする場合が多いため、新雪の路面に比べると安定して走行することができます。

とはいえ、これも過信することはできません。ノーマルタイヤで雪道を走行する場合はクルマのコントロールが困難になりますから、ちょっと速度を出したり、少し強めにブレーキを踏んだだけで容易にスリップを起こしてしまいます。

あくまで、他の路面に比べれば走りやすい箇所の目安として捉えましょう。

エンジン駆動タイプによる運転のポイント

FF車

FF車はクルマの前方にエンジンがあり、駆動力が前輪に伝わります。後輪には駆動力が全く伝わらず、制動力も前輪に比べると弱いため、特にカーブでスリップしやすいという特性があります。一方で発進する際には比較的安定しているため、常に先の道路状況を見据えた運転を心がけましょう。

ちなみに、ほとんどの方はFF車に乗っていらっしゃいます。雪道では普段よりクルマのお尻が滑りやすい、ということを覚えておきましょう。

FR車

FR車の場合はクルマの前方にエンジンがあり、後輪に駆動力が伝わります。これにより、アクセルを踏む際に不安定になりがちです。特に、坂道を登る途中でシフトダウンすることは自殺行為です。

トルクが足りないと感じた場合はシフトダウンしてしまいがちですが、シフトダウンした瞬間はエンジンとタイヤの回転数が上がるため、スリップを引き起こしやすくなります。坂道に入る前には適度に加速し、坂道の最中はシフトを落とさないようにしましょう。

4WD車

4WD車の場合ですが、発進時やスタック時には高い性能を発揮し、直進安定性は抜群です。一方で、4WD車であっても一度スリップしてしまうと立て直すことは困難です。

4WDは雪道に強いというイメージをお持ちかもしれませんが、過信は禁物です。特に雪の下り坂では、4WD車であっても自重によるスリップを抑えきれないため、FR車やFF車と同じくらい注意が必要となります。

道路の形状による運転のポイント

雪が積もった坂道は厄介です。なるべく走らないようにしましょう。どうしても走らなければならない場合は、特に下り坂に注意しましょう。エンジンブレーキをうまく利用しながら、フットブレーキは路面状況に応じて必要最低限の利用に留めます。

下り坂ではアクセルによる加速の他に、クルマの自重による加速が重なります。想定より制動が効かずにズルズルと滑っていき、そのまま先行車に追突する、という事故は、特に雪に慣れていない地域でよく見られる光景です。

カーブ

雪道で最も事故が発生しやすい箇所は、カーブした路面です。カーブの手前で十分減速し、ハンドルを切っている最中はフットブレーキを踏まないように心がけましょう。アクセルで加速する際も、カーブ路面から完全に抜け、ハンドルが直進方向に向いた段階になってからアクセルペダルを踏みましょう。

交差点

いくら自分が注意していても、他のクルマに巻き込まれる、という事態がしばしば発生するのが雪道です。特に交差点では他の車に注意しましょう。スリップしてオーバーランする車もあるため、停止線の数メートル手前で停止するなど、予防に予防を重ねた運転を心がけましょう。

トンネル

トンネルは入口と出口が最も危険なポイントです。トンネル内部は凍結しづらく、つい速度を出してしまいがちですが、入口と出口では路面が凍結していることも多いため、直線であっても事故の多いポイントです。

橋の上

一一般路面が凍結していなくても、橋の上だけが凍結していることは少なくありません。橋げたは地面に接していないため、夜になると急速に冷えてしまうためです。

カーブ状になっている橋は特に要注意です。スリップして橋の欄干を突き破り、そのまま落下するという恐ろしい事故に繋がりかねません。雪があまり降らない地域であっても橋の上だけは注意しろ、と言われるほどですから、冬期に橋を渡る際は注意しましょう。

路面状況による運転のポイント

新雪

雪が積もったばかりの場合は、深夜や早朝などの時間帯が要注意です。ヘッドライトを点灯しても雪が反射するため、路面を走行する際には路肩や道路の幅がわかりづらくなります。

また、あまり左側を走っていると側溝に脱輪してしまうこともあります。運転を控えることが一番ですが、やむをえず走行する場合もなるべく日中の明るい時間帯にしましょう。

圧雪

多くの車が行き交うことで踏み固められた圧雪路面は、新雪に比べるとグリップしやすくなっています。ですが、もちろん一般的なアスファルト路面に比べれば滑りやすくなっています。交通量が多い圧雪路面だからといって安心せず、慎重すぎるくらい慎重な運転を心がけましょう。

アイスバーン

最も危険性の高い路面状態がアイスバーンです。路面がカチカチの氷で覆われ、いわばスケートリンクのような状態になっており、非常に滑りやすくなっています。

スタッドレスタイヤやチェーンを装着したタイヤであっても決して安心することはできません。とにかく車間距離を大きく空け、速度を落として運転しましょう。

シャーベット

気温が上昇し、雪や氷が溶けかけた状態のシャーベット路面もスリップしやすい傾向にあります。シャーベット状になった氷や雪が厚く積もっていると、泥のような状態になるため、ハンドルを取られる原因になることもあります。季節としては春も間近になった頃、3月の初めから3月の中旬くらいが要注意です。

まとめ

ここまで、ノーマルタイヤを装着したまま雪が積もってしまった場合の注意点について述べてきました。重ねて注意を促すことになりますが、これらはあくまで「安全な場所まで移動する際に必要な運転テクニック」です。

安全な場所まで移動したら、無理をせずロードサービスに救援を依頼しましょう。無謀な運転は自分自身はもちろん、他の車をも巻き込む重大な事故に繋がりかねません。

なお、今回ご紹介した内容はノーマルタイヤだけではなくスタッドレスタイヤを装着している際にも役立つテクニックです。ぜひ参考にしてみてください。

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