【画像あり】タイヤのスリップサイン確認方法と車検通過の限界残り溝

タイヤのスリップサインについて解説しております。交換する時のタイミングの目印として、事故予防など細かくポイントをまとめてみました。日々のメンテナンスでチェックすべきこうも行くでもあるので是非、ご参照ください。

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タイヤ交換の目安には様々なものがありますが、特に分かりやすいのがスリップサインです。皆さんはスリップサインという言葉からどれくらいのことを連想できるでしょうか?

タイヤの交換、事故の危険、といったことを思い起こせるなら、まずは大丈夫です。定期的にスリップサインの有無を確認し、事故の予防に努めましょう。

ところで、タイヤのスリップサインの詳細な仕組みまでご存じの方は少ないのではないでしょうか。もちろんスリップサインはタイヤを交換すべきタイミングの目印として設けられているのですが、なぜあの溝の深さに設定されているのか、新品タイヤとスリップサインが間近なタイヤとでどれほど性能に差があるのか、ということについては、熟練のドライバーでも意外と知らないことです。

今回はスリップサインについて徹底解説しますので、日々のメンテナンスにおける意識を高めていきましょう!

スリップサイン

まずはスリップサインのおさらいをしましょう。
以下の画像における矢印で示した箇所がスリップサインです。

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スリップサインとは溝の底に設けられている出っ張りのことです。溝の深さが1.6mm以下になると、この出っ張りとタイヤのトレッド面が同じ高さになり、溝はほとんど残っていない状態になります。この状態では濡れた路面を走る際にスリップしやすくなるため、タイヤを交換しなければいけません。

スリップサインとはタイヤの残り溝が少なくなっていることを知らせるための目印です。では、なぜタイヤには溝が必要なのでしょうか?つい先ほど、さりげなく「濡れた路面を走る際にスリップしやすくなる」と述べましたが、実はこのことが最も重要なのです。

実は、雨が降らず、路面が濡れていなければ、タイヤの溝は必要ありません。むしろ溝がないと摩擦力が大きくなるため、乾いた路面であればスリップしづらくなります。ですが、路面が濡れている、つまりタイヤと路面との間に雨水が入りこむ状況となると、話が変わってきます。

わずかな深さの雨水であっても、タイヤが速い速度で走行していると、タイヤは雨水の抵抗を受けることで雨水の上に乗り上がってしまいます。水切りという石を水面に投げてジャンプさせる遊びを想像していただければ、どのような現象が起こっているかご理解いただけることでしょう。

タイヤの溝は、いわば排水溝です。タイヤが真っ平らであれば雨水に乗り上げてしまいますが、溝があれば雨水を逃がすことができ、タイヤのトレッド面が路面に対して確実に接触できます。

雨が多い日本においては特にタイヤの溝は必須であるため、スリップサインを設けることで、ドライバーにタイヤの溝を確保してもらっている、というわけですね。

スリップサインが現れていなければ大丈夫?

スリップサインが設けられていると、サインが露出するまでは大丈夫、と思ってしまいがちです。ですが、スリップサインはあくまで最低限の溝の深さです。実際には、タイヤの溝が減っていくと急激に排水能力が落ちていきます。

どのくらい急激に排水能力が低下するかというと、溝の深さが半分になると、排水能力は単純に計算するだけで四分の一になります。これ以上はかなり工学的な話になるので詳細は割愛しますが、そのくらい急激に低下します。

タイヤの溝が減るとどのくらい雨天時の制動距離が伸びるのか、実際にJAFが実験した例があるのでご紹介します。

タイヤの残り溝が3mm程度であっても、雨天時の路面を高速走行した際にはタイヤの残り溝がほとんど役割を果たすことができず、制動距離が大きく伸びることが報告されています。

残り溝が3mmということは、サインが現れる溝の倍程度の深さに相当します。ぱっと見た感じではそれなりに溝が残っているように見えてしまいますが、実際にはかなり危険な状態なのです。

タイヤの残り溝はデプスゲージと呼ばれる専用の工具を使わないと正確に測定することはできません。デプスゲージを購入するのも一つの方法ですし、「溝が減ってきたな」と思ったらカー用品店やガソリンスタンドなどで残り溝を確認してもらうのも良いでしょう。

カー用品店やガソリンスタンドはサービスが第一のお仕事ですから、小さな用件であっても快く請け負ってくれることでしょう。

プラットフォーム

スタッドレスタイヤには、スリップサインと似たような構造を持つ、プラットフォームと呼ばれる部位があります。スリップサインは残り溝が1.6mmになると現れますが、プラットフォームは残り溝が半分ほどになると現れるようになっています。

プラットフォームはスリップサインと異なり、表面に細かな溝(サイプ)が彫られているため区別は難しくありませんが、より確実に区別したいのであればタイヤの側面に彫られている上向きの矢印を見て判断しましょう。

以下の画像に示した矢印のサインがプラットフォームの位置です。

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なお、スリップサインも同様にタイヤの側面に位置が記されていますが、三角のマーク(△)で示されています。

プラットフォームは「凍結・圧雪路面を走るために必要な溝のサイン」です。プラットフォームが現れたスタッドレスタイヤで凍結路面や圧雪路面を走行することはできませんが、そうでない普通の路面であればノーマルタイヤとして問題なく走行できます。

車検と道路運送車両法

車検の際にはタイヤもチェックされますが、残り溝についても1.6mm以上あるか否か、ということがチェックされます。つまりスリップサインが出ていると、車検を通過できません。

とはいえ、気の利く車検業者であればひとまず在庫のタイヤに交換して車検を通過させ、後ほどタイヤ交換をどのように実施するか聞いてくれるでしょう。あるいは車検時に「こちらでタイヤを交換しますがよろしいですか」などと聞いてくれるでしょう。

心配であれば車検前にタイヤをチェックしておき、必要であれば交換しておきましょう。

一方、車検を通過できないということは、道路運送車両法に違反している状態である、ということでもあります。車検は二年に一度の恒例行事、というイメージがあるかもしれませんが、本来の目的は車が道路運送車両法に違反していないかどうか、つまり車が安全に走れるかどうかをチェックするための制度です。

車検を通過できない状態で公道を走ることは道路運送車両法に違反している状態であり、危険な状態で運転しているということでもあります。

スリップサインが現れたけど当分は雨が降らないし、車検はまだ先だからもうしばらく使おう、などと考えてはいけません。可能であれば残り溝が3mm程度になったところで余裕を持って交換したいものですし、残り溝が1.6mmともなればすぐさまカー用品店やガソリンスタンドに駆け込んでタイヤ交換をしてもらうべき状態です。

まとめ

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今回はスリップサインについて徹底的に解説しました。スリップサインはタイヤにおける最低限の残り溝を示す印です。タイヤの残り溝は、路面が濡れている際にタイヤと路面との間に入りこむ雨水を排水してくれるものなのですが、残り溝が少なくなると急速に排水能力が落ちていきます。

スリップサインはタイヤの交換サインであり、また道路運送車両法を遵守するための目安となるサインでもあります。どちらの意味で考えるにせよ、最低限の残り溝を確保するためのサインです。

スリップサインの出現を待つのではなく、スリップサインの出現が近いな、と思った段階で早めにタイヤ交換を実施することが望ましいでしょう。

ここまで様々に注意を促してきましたが、ドライバーが実際に行うことはあまり難しいことではありません。月に一度、空気圧の点検も兼ねてタイヤの状態をチェックする、それだけでよいでしょう。

重要なことは、チェックの際に何を見るか、ということです。スリップサインが出現するまでどれくらいか、ということも意識に入れて、短時間で有意義なメンテナンスを実施したいものですね。

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