中古タイヤの選び方まとめ
中古タイヤの選び方について解説しております。新品を購入する際と比べて、見るべきポイントはどこなのか。製造年週や状態など、まとめてみました。是非、今が交換時の方は参考になさってください。
消耗品であるタイヤは、なるべくなら交換のタイミングにおいて新品を購入する方が望ましいです。ですが、様々な事情で中古タイヤを選ばざるを得ないこともありうるでしょう。
例えば、お財布の事情が厳しい、来年あたりに車を乗り換えるため今年の冬に使用するスタッドレスタイヤは長く使う必要がない、といったことが想定できます。
最近ではインターネットオークションの他にも、中古タイヤを扱う業者も増えてきました。中古タイヤを適切に購入できれば、節約の大きな一助となるだけでなく、資源を無駄にしないエコロジーな生活を送ることができます。
一方で、タイヤは車を構成する部品の中で唯一地面に接触する部品であり、安全性に直結している部品でもあります。中古タイヤ選びに失敗してしまうと、お金の無駄になるだけでなく、安全面でもリスクを抱えることになります。
今回は中古タイヤを購入するメリットとデメリット、購入する際にチェックしておきたいポイントについて解説します。
目次
中古タイヤのメリット
なんといっても、中古タイヤは新品タイヤに比べて安価である、という点が魅力的です。特にスタッドレスタイヤを購入する際はご自身の使用頻度を考慮してみてください。
車の買い換えが間近に迫っている場合、新品のスタッドレスタイヤを購入するよりは、今冬限りと割り切って中古タイヤを選んだ方が賢いと言えるでしょう。
また、盆・暮れ・正月の帰省に合わせて使用するだけ、年に何度かウィンタースポーツをやるだけ、という方にも、中古のスタッドレスタイヤがオススメです。
サマータイヤについても、タイヤ交換のタイミングを失念していた、あるいはパンクなどによって急に交換する必要に迫られた、という場合は予期せぬ出費となりますから、安価な中古タイヤの購入が視野に入ります。
ラッキーなケースとして、未使用の中古品、いわゆる新古品が売りに出されている時があります。車好きな人が純正タイヤをすぐ他社メーカーのタイヤに付け替えたり、メーカーのキャンペーンや特価品として販売業者に仕入れられたりした場合は、新品同然のタイヤを安価に購入することができます。
メリットをひと言でまとめると「それなりの品質のタイヤを安価に購入できる」ということになります。
中古タイヤのデメリット
新品タイヤと異なり、中古タイヤは状態が同じものはひとつとしてありません。どのような使い方をされ、どのように保管されたのか分からないため、場合によっては極端に劣化した状態の中古タイヤを購入してしまうリスクがあります。
現物を確認できるのであればリスクは多少小さくなりますが、外見では分からない損傷がある場合は手の打ちようがありません。
インターネットオークションで中古タイヤを探してみると、多くは「ノークレーム・ノーリターン」と表記されています。売主と買主との間で無用なトラブルが発生することを防ぐために慣習となっている表記ですが、不良品を購入してしまっても基本的には自己責任となる、というリスクが発生することになります。
また、インターネットオークションの場合、主な判断材料は商品説明と添付された画像になります。売主に詳細を尋ねることもできますが、やりとりに要する時間は目に見えないコストになります。
デメリットをひと言でまとめると「品質が保証されないというリスクがある」ということになります。
購入にあたってチェックしておきたいポイント
上述したようなメリットとデメリットを考慮しつつ、中古タイヤを購入する際にチェックしておきたいポイントをまとめます。
・製造年週
サマータイヤの寿命は一般に、製造直後から10年、使用開始からは6年、と言われています。製造年が10年を超過していないか、使用後から6年を経過していないか、というポイントはひとつの目安になるでしょう。
タイヤの側面、サイドウォールには製造された年と週が記載されています。2000年以降に製造された製品の製造年週は4桁、1999年以前に製造された製品の製造年周は3桁の番号で記してあります。
現在では4桁の製品がほとんどでしょう。気をつけたいことは「年・週」の順番ではなく「週・年」の順番となっていることです。例えば「1015」とある場合、「2015」年の第「10」週に製造された、という意味になります。
・タイヤの溝
タイヤの溝はしばしば「○分山」と表記されます。タイヤの残り溝の深さを10分割して考える表記で、8分山なら8割、5分山なら5割、2分山なら2割、溝が残っているという表記です。中古タイヤでも8分山ほどは残っていた方が良いでしょう。
JAF(日本自動車連盟)が「雨天時の制動距離」を測定した実験によれば、新品タイヤ(10分山)の制動距離に比べて、摩耗したタイヤは5分山の場合で1.4倍、2分山の場合では1.7倍も制動距離が伸びる、という結果が示されています。
中古タイヤを購入したのち、使用に伴ってタイヤは摩耗していきますから、ご自身が使用する分のタイヤの溝を確保しましょう。
・ゴムの状態
タイヤは時間の経過と共にゴムが劣化し、ひび割れが生じます。中古タイヤであれば小さなひび割れは仕方ありませんが、小さなひび割れが繋がり、長く深いひび割れになっているものは購入を控えましょう。
JATMA(日本自動車タイヤ協会)はタイヤのひび割れの見方について、資料を公開しています。
「JATMA ひび割れ」で検索すれば見つかりますので、一度目を通しておくことをオススメします。購入にあたっては、現物を見られるなら入念にひび割れをチェックできるでしょう。
・前輪と後輪のどちらで使用されていたタイヤか
前輪に装着されていたタイヤと後輪に装着されていたタイヤは、摩耗の度合いに差が出ます。一般に、前輪のタイヤは後輪のタイヤより2~3倍も速く摩耗が進むと言われています。
走行距離に換算して5,000kmに1回程度の頻度で前輪と後輪のタイヤを入れ替える、いわゆる「タイヤローテーション」を実施し、摩耗の度合いを均一にすることが望ましいとされています。もし以前の所有者がローテーションを実施していなかった場合、例えば「使用後1年未満」と表記されていても、前後輪で摩耗の度合いが異なることが想定できます。
溝が残っており、ひび割れなども少ないようであれば購入してもよいでしょうが、購入者がタイヤを取り付ける際には前後輪のどちらに着用するか、タイヤの状態を見て判断する必要があるでしょう。
以上のことを考慮すると、ノークレーム・ノーリターンのインターネットオークションなどで中古タイヤを購入することはかなりのリスクが伴うと考えてよいでしょう。
現在では中古タイヤを取り扱う業者も増えています。中古であっても高額な取引になりますから、信頼できる業者から購入した方が良いでしょう。
まとめ
今回は中古タイヤを購入するメリットとデメリット、購入する際にチェックしておきたいポイントについて解説しました。中古タイヤのメリットをまとめると「それなりの品質のタイヤを安価に購入できる」ということになります。
また、中古タイヤのデメリットは「品質が保証されないというリスクがある」ということになります。
中古タイヤを購入する際のポイントとしては、まず以下の四点を考慮しましょう。
・タイヤの製造年週:製造から10年以上経過したタイヤは寿命を迎えている。
・タイヤの溝:8分山程度は残っていることが望ましい。
・ゴムの状態:小さなひび割れは許容できるが、長く深いひび割れは避ける。
・使用されていた箇所:前輪だけで使用されていたタイヤは後輪に比べて摩耗しやすい。
以上のようなリスク・リターンを考慮し、購入する際にチェックすべきポイントを押さえておけば、きっと快適なカーライフを送ることができるでしょう。