タイヤの規格について徹底解説!
タイヤには様々な規格が定められています。名称、扁平率、外径、幅、負荷能力、最高速度、等々の様々な項目は国やタイヤの種類によって異なります。車の乗り心地や燃費の向上に欠かせない知識を学んでいきましょう。
タイヤには名称、扁平率、外径、幅、負荷能力、最高速度、等々の様々な規格が定められています。タイヤの規格は国やタイヤの種類によって異なります。タイヤを変えることで車の乗り心地を向上させたり燃費を良くしたりできますが、製造時の規格に従って使わなければデメリットを生むだけでなく、事故に繋がる恐れもあります。
今回はタイヤを選ぶ際に気をつけたい、タイヤの規格について解説します。また、特に気をつけたいポイントである空気圧のチェックについても例を挙げてご紹介します。
目次
様々なタイヤの規格
自動車が装着するタイヤの規格はISO(国際標準化機構規格)によって大枠が定められていますが、細かな規格は国によって異なります。日本のタイヤはJATMA(日本自動車タイヤ協会)が定める規格に基づいて製造されています。アメリカではTRA(タイヤ&リム協会)、ヨーロッパではETRTO(欧州タイヤ及びリム技術機構)により、それぞれタイヤの規格が定められています。
例えば、国産車の純正タイヤはJATMAが定める規格に基づいて製造されたタイヤである場合がほとんどです。一方、日本でもETRTOやTRAの規格に沿って製造されたタイヤが販売されていることがあります。
詳しくは後述しますが、規格が異なるタイヤを装着する場合、ドライバーが空気圧に注意する必要があります。タイヤを純正品以外のものへ交換する際は、新しいタイヤの規格をカタログやメーカーのWEBサイトなどで確認しましょう。
また、ETRTOで定められた規格の中でもXL(エクストラロード)規格あるいはRF(レインフォースド)規格と呼ばれるタイヤは内部構造を強化しているため、従来のタイヤより高い圧力の空気を入れることができます。
また、最大負荷能力を表す指標であるロードインデックスも従来のタイヤより優れています。XL規格とRF規格は、名称は異なりますが同じ規格を意味しています。従来のETRTO規格はSTD(スタンダード)規格と呼ばれます。特に輸入車を購入した際や、ホイールのインチアップを行った際に、XL規格のタイヤを装着することがあります。
例えば、タイヤサイズが215/45R17の場合、STD規格におけるロードインデックスは87ですが、XL規格におけるロードインデックスは91です。また、STD規格は空気圧の上限が240kPaとなっていますが、XL規格は空気圧の上限がより高く、290kPaまで設定されています。
空気を多く入れられるということは、扁平率が低く容積が小さいタイヤでも大きな荷重を支えることができるということになります。一般に、ホイールをインチアップするとタイヤの容積は小さくなります。STD規格のタイヤでは車の荷重を支えられなくても、XL規格のタイヤなら車の荷重を支えられることがあります。
タイヤの規格によって異なる空気圧
タイヤを交換する際、カー用品店やカーディーラー、ガソリンスタンドなどに相談し、作業を依頼する方が多いでしょう。専門家に相談してタイヤを選ぶ際には、リム幅、サイズ、ロードインデックスといった数値が適切かどうかも判断してもらえるため、ドライバーがタイヤの規格についてそれほど意識する必要はないでしょう。
ドライバーがタイヤの規格を意識する必要があるのは、タイヤの空気圧をチェックする時です。タイヤの空気圧は時間の経過と共に減少します。タイヤの空気圧が規格で定められた数値を大幅に上回ると、センター部分が偏摩耗したり、乗り心地が悪化したりします。
また、タイヤの空気圧が規格で定められた数値を下回ると、ショルダー部分が偏摩耗したり、燃費が悪化したりします。場合によっては事故に繋がる恐れもあるため、規格で定められた空気圧を保つようにしましょう。
JATMAやタイヤメーカーは「一ヶ月に一度はタイヤの空気圧をチェックすることが望ましい」と勧告しています。タイヤの空気圧をチェックする際、基本的には運転席のドアに貼られたラベルに書かれている指定空気圧を見ればいいのですが、装着しているタイヤの規格によっては指定空気圧では不足する場合があります。
特にXL規格のタイヤは高い空気圧を想定しているため、純正タイヤと同じ空気圧にしてしまうとかえって性能が悪くなってしまう場合もあります。ご自身でタイヤに空気を入れる場合は、それぞれの規格において定められた空気圧を確認しておきましょう。
また、ガソリンスタンドやカー用品店などで空気圧のチェックや空気の充填を依頼する際も、作業員の方にタイヤの規格をあらかじめ伝えておくと、トラブルを未然に防ぐことができるでしょう。
ちなみに、サイズが同じ場合、JATMA規格で作られたタイヤに比べてETRTO規格で作られたタイヤはやや高めの空気圧を設定している場合が多いようです。輸入タイヤはETRTO規格に基づいて製造された製品も多いため、購入を検討しているタイヤの規格と適正な空気圧は必ず確認しましょう。
空気圧の見方
純正タイヤとは異なる規格のタイヤを装着する際は、純正タイヤに定められた空気圧で発揮できる負荷能力と同等以上の能力を維持できるように空気圧を設定する必要があります。また、ロードインデックスについても同様に、純正タイヤと同等以上の能力を確保する必要があります。
空気圧が適正でないと乗り心地や燃費に影響するうえ、バーストや偏摩耗に繋がります。ロードインデックスが不足していると車検を通らないだけでなく、タイヤが車体を支えきれなくなるため事故に繋がる恐れがあります。
例えば純正タイヤのサイズが 195/65R15 91 で指定空気圧が 240kPa となっている場合を考えてみましょう。この場合、ロードインデックスは91、負荷能力は615kgです。
ここで、インチアップしてタイヤサイズが 215/45R17となっている場合、ロードインデックスが91となっているタイヤで純正タイヤと同等以上の負荷能力を維持するためには、空気圧を 290kPa とする必要があります。
上述した数値はあくまで一例です。車種によってタイヤサイズは異なりますし、前輪と後輪で異なる空気圧が指定されていることもあります。純正タイヤと異なるタイヤを購入する際は、必ず適切な空気圧の値をチェックしましょう。
分からない場合、不安な場合は、カー用品店やガソリンスタンド、カーディーラーといったタイヤの専門家へ相談することが望ましいでしょう。また、適切な空気圧をいつでも確認できるよう、車内にメモ書きを残すなどの工夫をしておくとなお良いでしょう。
まとめ
今回はタイヤの規格について解説しました。タイヤは国や種類によって様々な規格が定められています。ご自身でタイヤを選ぶ際には、どの規格に沿って製造されたものなのか確認し、純正タイヤと同等以上の能力を持つタイヤを選ぶようにしましょう。
純正タイヤと異なる規格のタイヤを使用する際は、特に空気圧への注意が必要です。カー用品店やガソリンスタンドでは空気圧のチェックと空気入れを無料で行ってくれるところが多くあります。また、セルフサービス方式のガソリンスタンドなどでは空気充填機を利用できることがあります。
日常的に空気圧をチェックし、減った空気を入れるためには便利なサービスです。一方で、誤って規格に沿わない空気圧を設定しないよう、作業員の方へ使用しているタイヤの規格を伝えたり、適正な空気圧の値を記したメモを車内に残しておいたりするなど、工夫を心がけることも重要です。
タイヤの規格は、自動車が安全に走行できることを目的として定められているものです。規格の全てを把握する必要はありませんが、日常的にチェックする空気圧については正しい値を知っておきましょう。