タイヤを交換するタイミングは往々にして、不意打ちのようにやって来ます。いざ交換が必要となったとき、皆様はご自身が利用している車のタイヤのサイズをすぐに答えられるでしょうか?
実のところ、タイヤのサイズを覚えていなくてもあまり問題はありません。いま利用している車のタイヤの側面には、サイズの情報が刻印されているためです。ですが、タイヤに刻印されたサイズの表記は一定の法則で簡潔に記されているため、読み方が分からなければ意味がありません。
今回はタイヤ側面に記されているサイズの表記について解説します。また、それぞれの意味についても少し掘り下げて解説します。
目次
タイヤ側面の色々な表記
タイヤの交換費用を少しでも安くしたい、あるいは店舗に行くといつも混んでいるから指定した日時に素早く交換したい、という方には、インターネット通販でタイヤを購入することをお勧めします。
例えばタイヤフッドではサイトでタイヤの購入手続きを進め、お住まいの地域にある指定店舗へ予約を入れれば、あとは予約した日時に店舗へ車を持っていくだけでタイヤを交換してくれます。
ですが、通販サイトでタイヤを購入する際は、少なくともタイヤのサイズは把握しておく必要があります。車種から製品を絞りこむことも可能ですが、同じ車種でもグレードによってタイヤのサイズが異なることもあるためです。
サイズだけでなく、場合によってはロードインデックス(荷重指数)や速度記号も読み取る必要があるかもしれません。
そこで役に立つのがタイヤの側面、サイドウォールに刻印されている記号です。そのタイヤのサイズだけでなく、様々な情報が刻印されています。まず覚えておきたいのは、タイヤの諸元(カタログスペック)を表す記号です。
例えば「195/65R15 91H」のような刻印がなされています。これらは「タイヤ幅 / 扁平率 製造手法 リム径 荷重負荷 速度記号」というように対応しています。
このうち、タイヤのサイズを知るために最低限、読み取らなければならない数字が三種類あります。タイヤ幅、扁平率、リム径です。先ほど例として上げた表記であれば、タイヤ幅、扁平率、リム径は以下のようになります。
タイヤ幅:195(mm)
扁平率:65(%)
リム径:15(インチ)
タイヤ側面にはサイズ記号の他にも、タイヤが製造された年・週であったり、メーカー名であったりと色々な情報が書かれていますが、「間にスラッシュ(/)が入っている、3桁から始まる数字たちの最初の3つ」と覚えておけば大丈夫です。
かつてはタイヤ側面の記号には様々な表記方法がありましたが、現在は表記の国際標準化が進んでいるため、大手メーカーのタイヤであれば表記に違いはありません。
つまり、これら三種類のサイズの読み方だけを覚えておき、サイズの情報が必要になったらタイヤの側面を見てメモすればよいわけです。例えばタイヤフッドのサイトであれば、最初に書かれている数字から順番に入力していけば、サイズの合うタイヤを自動的に表示してくれます。
さて、ドライバーが最低限把握しておく必要のあるタイヤのサイズは上記の3つですが、それぞれ何のサイズを示しているのでしょうか。どんなことにも当てはまりますが、ある知識は他の様々な知識と結びつくことで確かなものになります。せっかくですので、もう少し詳しく見ていきましょう。
タイヤ幅とは?
タイヤ幅とは文字通りタイヤの幅のことですが、いったいどの部分の幅を指してタイヤ幅と言っているのでしょうか。ミリメートルの表記ですから、さすがにタイヤの直径ということはないでしょう。
では、リムと密着している部分の横幅でしょうか?それともタイヤから出っ張った刻印部分まで全てを含めた横幅のことでしょうか?
正解は、タイヤ幅は刻印部分の出っ張りを除いたタイヤの横幅のことである、です。より厳密には、適切な空気圧を入れた場合の横幅になります。ご存じの方も多いでしょうが、公道を走る際、タイヤが車体からはみ出してはいけません。
車のモデルごとにタイヤが収まるスペースは決まっていますから、タイヤ幅は純正のものと同じサイズを選ぶ必要があります。
ごく稀にタイヤがはみ出す改造をしている人がいますが、もちろんその状態で公道を走る場合は道路運送車両法に違反します。逆に、幅が広いリムに細いタイヤを取り付ける「引っ張り」という改造をしている人もいます。
これはリムが車体からはみ出さない限り法律には違反しませんし、見た目が格好良くなるというメリットはありますが、リムを傷つけないよう注意して運転する必要があったり燃費が悪くなったりと、デメリットも多くあります。
リム径とは?
そもそも、リムとホイールはどう違うのでしょうか。あまり意識したことがない、という方も多いのではないでしょうか。
正解は、リムはホイールの一部である、です。具体的には、ホイールの外周を覆う金属部分をリムと呼び、リムはホイールにおいてタイヤを固定する役割を持っています。タイヤの内側にはビードと呼ばれる金属のワイヤーが内蔵されており、これがリムと噛み合うことで固定されます。
さて、リム径はリムの直径を表すサイズです。例えば近ごろの軽自動車のリム径は多くが14インチ、35.56センチメートルです。タイヤ幅はメートル法に基づいてミリメートルで表記されているのに、なぜリム径はヤード・ポンド法に基づいてインチで表記されているのでしょうか?
実は1940年頃、フランスにおいてタイヤの規格が制定されたとき、リム径(タイヤの内径)もまたメートル法で表記するように定められました。ですがインチをミリメートルに換算すると中途半端な数字になってしまいます。
タイヤを扱う現場からは「分かりづらい」と声が上がったため、リム径の表記はミリメートルからインチへ戻されました。
フランスのタイヤメーカーといえばミシュランです。2005年にブリヂストンがタイヤの売上世界1位になるまでは世界最大のタイヤメーカーでした。
現在でも世界2位の売上を誇るタイヤメーカーです。ミシュランを擁するフランスがリム系の表記にインチを採用したため、他のメーカーもリム系の表記にはインチを用いるようになり、現在でもインチで表記するようになったのです。
扁平率とは?
タイヤに関する数字の中でもかなりややこしい部類に入るのが扁平率です。とても大ざっぱに言うと、扁平率とは「タイヤの断面がどれくらい潰れた形になっているか」を表す値です。
扁平率が大きいほどタイヤの断面は円に近くなり、扁平率が小さいほど断面は潰れた楕円になっていきます。ちなみに、一般的な扁平率は65%くらいです。
例を挙げると、タイヤの横幅が100ミリメートルであるとします。このとき、リムからタイヤのトレッド面までの高さが65ミリメートルであれば、扁平率は65%になります。つまり、扁平率とは、タイヤの幅に対する高さを割合で表したものです。
タイヤを選ぶ際、タイヤ幅とリム径が合っていても、扁平率が合っていないと、タイヤの外径が変わってしまいます。例えば扁平率が65%でなければならないところ、扁平率が55%のタイヤを選んでしまうと、外径が小さくなってしまいます。このため、通販サイトではタイヤ幅、リム径、扁平率という3つの数値を合わせることが必須の条件となっています。
なお、ホイールサイズを大きくするインチアップを行う場合は、リム径が大きくなります。つまり扁平率を小さくしてタイヤの外径が純正のものと同じくらいになるよう調整しなければいけません。
インチアップを行う際の扁平率については計算や調整は複雑になりますから、専門家がいるカー用品店やカーディーラーなどに相談した方がよいでしょう。
まとめ
今回はタイヤ側面に記されているサイズの表記について解説しました。また、それぞれの意味についても雑学的なご紹介をしました。通販サイトでタイヤを購入する際は、最低限、3つの数値を把握しておく必要があります。タイヤ幅、扁平率、リム径です。
それぞれの数値はタイヤの側面、サイドウォールに記載されています。「間にスラッシュ(/)が入っている、3桁から始まる数字たちの最初の3つ」と覚えておきましょう。順番にタイヤ幅、扁平率、リム径が記載されています。
また、それぞれの数値について雑学的な情報をご紹介しました。知識は様々な物事と結びつくことでより確かなものとなります。今回の記事が、タイヤ選びをスムーズにする一助となれば幸いです。