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急増しているタイヤのパンク
JAFの発表によると、ここ10年でタイヤトラブルでの出動件数は30%以上増加しているといいます。
急増しているタイヤのパンクですが、あなたにも無縁ではありません。タイヤのパンクは誰にでも起こりうるトラブルなのです。
パンクの原因は
パンクの原因はさまざまありますが、まずはガラスの破片や釘などがタイヤに刺さってしまうパターンです。
これは最も多いパンク原因ですが、偶然の要素が強いので自分で防ぐことは難しいですね。
また縁石などにこすってしまい、パンクすることもあります。
ほかには空気圧の不足が挙げられるでしょう。
タイヤの空気圧が不足するとクッション性が低下し、衝撃吸収力が弱くなります。そのため段差などの衝撃でパンクしてしまうことになるのです。
できるだけ空気圧をこまめにチェックして、適正な空気圧を保つようにしましょう。
現在は扁平率の低いタイヤが流行していますが、扁平率の低いタイヤはもともと空気の量が少ないため空気圧の低下を招きやすい傾向があります。
扁平率の低いタイヤが増えていることもパンクが増えている理由の一つかもしれないですね。
ホイールの変形がパンクを引き起こすこともあります。
段差や縁石にぶつけたりして衝撃を受けた際にホイールが歪んでしまい、偏摩耗やエアの漏れが発生してパンクにつながるのです。
劣化が進み寿命を過ぎたタイヤの使用もパンクの原因となります。
バーストとはどう違うの?
パンクは何らかの原因でタイヤから徐々に空気が抜けていくために起こりますが、バーストは走行中に突然タイヤが破裂する現象のことを指します。
パンクはだんだんと空気が抜けていくため走行中すぐには気づかないこともあるようですが、バーストは発生すると衝撃があり車両のコントロールが効かなくなるので非常に危険です。
破裂の衝撃で車両にダメージが及ぶことも。
バーストが発生するおもな原因は空気圧が低下した状態で走り続けることやタイヤの劣化などですが、過積載やロードインデックス不足などでタイヤが負荷に耐え切れなくなって発生することもあります。
パンクしたまま走り続けたらどうなる?
パンクしたままで走り続けるとタイヤは壊滅的な被害を受け、修理不能な状態に。
走った距離や状況によってはホイールにもダメージが及ぶこともあります。
また空気が入っていない、もしくは極端に少なくなっている状態なので、振動が激しくなり乗り心地は低下。
空気の分の車高が下がった状態なので、車の床面をぶつけやすくもなります。
ハンドルが重くなったりコントロールが効きにくくなることもあり、非常に危険です。パンクしたまま走り続けるのは控えましょう。
走行中にパンクしたらどうしたらいい?
タイヤがパンクしたと気づいたら、慌てず適切に対処することが大切です。
パンクしたらまずは安全な場所に停車
走行中にタイヤのパンクに気づいたら、まずは安全な場所に停車しましょう。
慌てて急停車するのは危険です。後続車の様子を見ながらスピードを落として安全な場所に移動してください。
この時できるだけタイヤへのダメージを避けるため、なるべくエンジンブレーキを使用するといいでしょう。
高速道路の場合は後続車に故障して停車していることを知らせるため、三角表示板を設置し、発炎筒を使用してください。
スペアタイヤに交換
スペアタイヤが積んである場合はパンクしたタイヤと交換します。
スペアタイヤはあくまでも応急品なのでずっとそのままにはせず、できるだけ早く通常のタイヤと交換するようにしましょう。
また、スペアタイヤの最高速度は80㎞/h、走行距離は100㎞とされています。
高速道路での使用には向いていませんので、高速道路で使用する場合には最寄りの出口で降り、最寄りのカーショップやタイヤショップでタイヤ交換や修理をするようにしてください。
パンク修理キットで修理
最近の車ではスペアタイヤが積まれておらず、代わりにパンク修理キットが装備されている場合もあります。
その場合は可能であればタイヤ修理キットを使用して応急処置をしましょう。
パンク修理キットが搭載されている車では取扱説明書に修理方法が記載されています。
種類によって修理方法が異なるので、必ず確認してから修理するようにしてください。
自力でスペアタイヤへの交換や修理が無理な場合は
自分ではタイヤの交換や修理はできそうもない、という場合は無理をせずロードサービスを利用しましょう。
高速道路でパンクが起きた場合も、非常駐車帯でのタイヤ交換や修理は危険です。
よほど広い待避所のような場所、またサービスエリアなどでの作業が可能であればいいですが、そうでない場合はロードサービスを呼んだほうが安全でしょう。
JAFや加入している保険会社のロードサービスに連絡して、到着を待ってください。
パンク時のタイヤ交換は1本だけ?
パンクしたタイヤ1本だけの交換はOK?
タイヤはよほどの場合でないと複数個が一緒にパンクすることはありません。
タイヤやそれほど安いものでもなく、ましてやパンクは予想できるトラブルでもないため突然の大きな出費となります。
可能であれば4本ともタイヤ交換するのがベストではありますが、できるだけ1本の交換で済ませたいと思うのは当然でしょう。
では果たして、パンクした1本のタイヤのみの交換はOKなのでしょうか。
2WDの場合と4WDの場合で異なる
結論からいうとその答えは2WD車か4WD車か、またタイヤの状況によっても異なります。
1本の交換でOKなのか、それとも2本交換が必要なのか、4本全部交換しなければならないのか。
どういった条件で決まるのかを見ていきましょう。
2WDでは
これまで使用してきたタイヤは多少なりともすり減っています。
新品タイヤとはグリップ性能などかわずかであっても異なるため、組み合わせると同じタイヤのサイズでもまっすぐに走らないなどの可能性があります。
現在履いているタイヤがよほど新しいものであれば1本の交換もOKですが、その際は必ず同じタイヤに交換するようにしてください。
装着してから年数が経過している場合はすり減りが大きく、新品タイヤとの差が激しいため1本のみの交換はおすすめできません。
2WD車では左右のタイヤが対で動いているので減り方が似ている傾向があります。
そのため装着してから数年たったタイヤの場合は左右の2本を交換するとバランスが整い、問題なく走行できるでしょう。
4WDでは
4WD車の場合は基本的に1本だけのタイヤ交換はNGです。4WD車では4本のタイヤがすべてつながり駆動しています。
そのため1本だけ交換するとそのタイヤのみグリップ性能が異なるため、駆動系に大きな負担をかけてしまうのです。
そうなるとセンターデフなどの駆動系の故障は時間の問題です。
故障するとタイヤ4本を交換するよりも修理代金は高くつきますし、車に与えるダメージも甚大です。
4WD車の場合は1本だけのタイヤ交換はせず、4本すべてのタイヤを交換するようにしましょう。
自力でのタイヤ交換の仕方
タイヤ交換は自力でもできる
タイヤ交換は自分でもできます。覚えておくと万一パンクしてスペアタイヤに交換する際にも役立ちますので、一度チェックしておきましょう。
ジャッキと輪留め、レンチ(トルクレンチ)を用意します。まずは交換するタイヤの対角線上にあるタイヤを輪留めしましょう。
サイドブレーキを引いていても車は動くことがあります。万一の事故防止のためにも輪留めは必ず使用してください。
ホイールキャップがついていたら外し、レンチで少しだけホイールナットを緩めます。全部緩めてしまうのではなく、少しだけがポイントです。
交換するタイヤに近いジャッキアップポイントにジャッキを設置して車を持ち上げます。
タイヤが少し浮く程度まで持ち上げてください。持ちあがったらホイールナットをさらに緩めてタイヤを取り外します。
新しく用意したタイヤを取り付け、ホイールナットを締めますがこの時も外すときと同じく完全には締めず、2~3回に分けてぐらつかない程度に仮締めにしてください。
ホイールナットは対角線上にあるナットを順に締めるようにします。
仮締めできたら車体を下ろしてジャッキを外し、同じ順番でホイールナットの増し締めをします。
トルクに注意
このとき気を付けたいのはトルク。タイヤにはそれぞれトルク=締め付ける力が規定されています。
規定値より高い力で締めてしまうナットが切れてしまうことも。
逆に弱すぎると緩んで脱輪を起こすなどの可能性があるので、適正なトルクに調整することが大切です。
トルクを指定できるトルクレンチを使用し、適正なトルクに増し締めして完了です。
適正トルクは車の取扱説明書に記載がありますので、必ず確認しておきましょう。
このタイヤ交換の仕方をマスターしておけばパンクの際にもスペアタイヤに交換できますし、インターネットなどで自分でタイヤを購入して交換することもできます。
業者に依頼したほうがいいケース
誰でもタイヤ交換はできるとは述べましたが、力がなくホイールナットの締めが十分にできない、道具類をそろえるのが面倒、また上記の手順が自分にはとても無理だと思った場合には業者に依頼しましょう。
タイヤの不備は命に係わる事故にもつながりかねないので無理は禁物です。
走行中のパンクの場合はロードサービスに、通常のタイヤ交換であればカーショップやタイヤショップにタイヤ交換を依頼してください。
最近ではタイヤを持ち込んでの交換を受け付けているショップもあります。
料金はかかりますが、専門知識を持ったスタッフが正しく取り付けてくれるので安心です。
パンクを防ぐために気をつけておきたいこと
定期的に空気圧をチェックする
空気圧の低下はパンクを引き起こすばかりか危険なバーストの発生にもつながります。タイヤの空気圧はきちんとチェックするようにしましょう。
特に扁平率の低いタイヤを使用している場合はなおさらです。
タイヤの寿命を把握する
走行距離や乗り方にもよりますが、一般的にタイヤの寿命は4~5年程度といわれています。
寿命の時期が来たからといってすぐに交換が必要なわけではありませんが、こまめにタイヤの状態をチェックするようにし、劣化の兆しや異常を発見すれば交換するようにしてください。
終わりに
タイヤがパンクした時には、パニックにならず落ち着いて対処しましょう。
タイヤ交換が1本でOKかどうかはあなたの車の種類、そして状態によって変わります。
自分の車の特徴や状態をしっかり把握して判断しましょう。判断に迷うようであればカーショップやタイヤショップに相談してください。
日ごろからパンクを防げるようにタイヤの点検を日常的に行い、安全で楽しいカーライフを送れるようにしたいものですね。