ミニバンタイヤはどう選ぶ?選ぶときのポイントとは
ミニバンのタイヤ選びには様々な特徴があります。大手メーカー別の比較や製品の種類はもちろん、剛性や耐摩耗性の高さなどによる特性等も踏まえて詳しく解説しています。こだわり自動車に合わせて、是非とも参考にしてください。
日本では新車販売台数の三割以上をミニバンが占めるようになりました。荷物を多く積むことができ、お子さんが増えても買い換える必要が無いことから、ミニバンはファミリーカーとして人気を集めています。一方でミニバンは車高が高く、重量も大きいことから、ハッチバックやセダンとは違った特徴を持っています。
車の特徴が変わればタイヤの選び方も変わります。今回はミニバンのタイヤを選ぶ際に気をつけたい特徴と、大手タイヤメーカーからミニバン専用タイヤとして販売されている各製品についてご紹介します。
目次
ミニバンの特徴
ミニバンはハッチバックやセダンに比べて特徴的なポイントがいくつかあります。まず、車の横幅が広いため、車内空間を広く取ることができるという点が挙げられます。これにより荷物を多く積みこむことができる、広々とした空間を楽しみやすい、といったメリットがあります。
ファミリーカーとして人気が高く、特に小さなお子さんをお持ちのご家庭に愛される車種です。一方、搭乗人員や荷物によって車両の総重量が重くなり、タイヤに負担がかかりやすい、燃費が悪くなりやすい、といった側面も持ちます。
地上高(車体と路面の間隔)が広めなのもミニバンの特徴です。車体と路面の間が広くなると雪道や山道などの悪路も進みやすくなります。また、座席の高さも高めになるため運転時の視界を広く取れるというメリットもあります。
一方で車両の重心は高めになるため、カーブを曲がる際にはタイヤの端に強い負荷がかかったり、ふらつきやすかったりします。また、強風時には車体が不安定になりやすいことも特徴です。車体が不安定になるとドライバーは常に細かなハンドル操作を行う必要に迫られるため、運転時の疲労が大きくなります。
以上の特徴を踏まえたうえで、ミニバンのタイヤは次のような特性を持ち合わせていることが求められます。
・車を支えられる剛性が高い
ミニバンは車重が重く、またカーブを曲がる際にはタイヤの外側に強い負荷がかかります。これらのことから、ミニバンのタイヤは変形しづらいこと、すなわち剛性の高さが求められます。
・操作の安定性が高い
ミニバンは車高が高いため重心も高くなり、ハンドル操作時に車体がふらつきます。「ふらつく」という感覚は、ドライバーが意図したルートを車が通ってくれないために発生するものです。タイヤはドライバーのハンドル操作を反映する部品ですから、タイヤが操作の安定性を担っているといえます。
・耐摩耗性が高い
ミニバンのタイヤには負荷がかかりやすいということは、それだけ地面とタイヤが激しく接触するため、タイヤが摩耗しやすくなるということでもあります。
タイヤの買い換えサイクルが早まるだけでなく、うっかり摩耗を見過ごしてしまい気付いたらスリップサインが現れていた、という事態にも繋がりやすくなります。タイヤの外側は特に偏摩耗しやすくなるため、普段から注意する必要があります。
・低燃費性能が高い
ミニバンは車体が大きく、車重も重いため、近年の低燃費自動車に比べると燃費が悪い傾向にあります。ハイブリッド仕様のモデルも登場していますが、やはりセダンタイプのハイブリッドカーの燃費には及びません。
それでも、少しでも燃費を良くしたいというのがドライバーの心理というもの。燃費の向上については様々な手段がありますが、タイヤを見直すというのもひとつの手です。
ミニバンのタイヤ選びでは上述のような特性が重要です。具体的にはどのようなタイヤが販売されているのか、大手タイヤメーカーの製品を詳しく比較してみましょう。
ミニバン専用タイヤ
先述のような特性を実現するべく開発されたのがミニバン専用タイヤです。ミニバンに求められるタイヤの特性は相反する効果となるものも多いため、タイヤメーカーはいずれかの特性を高めることで競合他社との差別化を図っています。
2018年時点において、大手のタイヤメーカーがミニバン専用タイヤとして販売しているモデルをご紹介します。
ダンロップ:エナセーブ RV504
ミニバンのタイヤは経済性が気になるもの。エナセーブ RV504 は低燃費性能と耐摩耗・耐偏摩耗性能を高めたタイヤです。
ミニバンは重く、空気抵抗も大きいため、燃費は悪くなりがちです。また、タイヤにかかる負荷も大きいため摩耗も激しくなります。経済性を重視するならばエナセーブを検討してはいかがでしょうか。
トーヨータイヤ:トランパス mpZ
ミニバンは高速走行時にレーンチェンジを行う際にふらつきやすいという点に着目し、レーンチェンジ時の安定性を重視したタイヤがトランパス mpZ です。
遠出の際は高速道路を利用する機会が多くなります。高速走行時の安定性を重視するならばトランパス mpZ の検討をおすすめします。
ヨコハマタイヤ:BluEarth RV-02
雨の日にどの程度のグリップ力を発揮できるかを示した指標をウェットグリップ性能と呼びます。本来は低燃費性能とウェットグリップ性能は相反する性能であるところ、 BluEarth RV-02 はゴムの配合を工夫することで低燃費性能とウェットグリップ性能を両立したタイヤとなっています。
遠出の増える夏場は夕立やゲリラ豪雨に見舞われやすい時期でもあります。特に高速道路では雨天時に交通事故の発生確率が高くなるため、雨天走行時にも安心・安全なドライブを実現できる BluEarth は安全性能を求めるドライバーにうってつけといえます。
ブリヂストン:Playz PX-RV
先述したミニバンの特徴について、車体がふらつくとドライバーの疲労が増すことに言及しました。この疲労に着目し、「疲れにくい」ことによる安全性を追求したタイヤが Playz PX-RV です。
最近は自動車の安全性能が向上、道路環境も整備されたことから、交通事故の多くはヒューマンエラー、すなわちドライバーのミスに由来しています。ドライバーの疲労が蓄積するとミスも起こりやすくなります。ドライバーの疲労に着目した点で、 Playz PX-RV はユニークなモデルであるといえるでしょう。
グッドイヤー:EAGLE RV-F
グッドイヤーは「ミニバンに求める性能は何か?」というアンケートを全国のミニバン保有者に実施し、「ふらつきの軽減」「偏摩耗の抑制」「操縦安定性」を求めているユーザーが多いという結果を得ました。この調査結果から生まれたタイヤが EAGLE RV-F です。ユーザーの声を具体的に反映しているという点で、満足度が高い製品であるといえるでしょう。
各社とも、ミニバンに求められる性能を高めながら、ユーザーのニーズに対応した差別化を図っていることが分かります。ご自身が最も必要とする性能を考慮して選ぶとよいでしょう。
まとめ
今回はミニバンのタイヤを選ぶ際に気をつけたい特徴と、大手タイヤメーカーからミニバン専用タイヤとして販売されている各製品についてご紹介しました。ミニバンはハッチバックやセダンといった車種とは異なる特徴があり、それらの特徴に合わせてタイヤを選ぶ必要があります。タイヤを選ぶ際に重視したいポイントは以下の四点です。
・剛性が高い
・操縦安定性が高い
・耐摩耗性が高い
・低燃費性能が高い
タイヤメーカー各社は以上のような特性を実現しつつ、競合との差別化を図るために様々な特徴を持たせたミニバン専用タイヤを販売しています。経済性、快適性、安心……何を求めるかによって選ぶ製品は変わるでしょう。今回の記事がミニバンのタイヤを比較検討している方の一助となれば幸いです。